研究課題
特定の核酸を保有した細胞内に、その核酸に対する蛍光色素ラベルの特異的probeを導入し、細胞からの蛍光シグナルを検出する。その蛍光特性により、細胞を分離し、その分子生物学的な特徴をさらに明らかにしようとする。細胞は遊離細胞であること、遺伝子異常が明らかであること等の理由から、転座を有する白血病培養細胞株を使用した。BCR-ABL癒合遺伝子が特徴であるK562細胞、PML-RARA融合遺伝子が特徴であるNB4細胞を使用した。癒合遺伝子の確認はPCR法、同様のprobeを使用したFISH法で確認した。次に培養生細胞にて、QUAL-FRED法を使用して、発生する蛍光量を上げるとともに、probeの導入に伴う性細胞率を低下させない設定を行った。Probeの導入は前回より使用されているASLOを用い、37℃にて細胞膜の穿孔を行い、この間に蛍光probeの導入を行った。処理時間を可及的に短縮し、かつprobe量を効率的に導入するため、条件設定を変えた。生細胞率はPIを用い、flow cytometry上のcscatter gramにて測定した。蛍光色素streptavidine RED670による蛍光は反応時間7分にて、K562細胞で72%の蛍光陽性細胞が検出された。しかし、蛍光陰性細胞の多くは死細胞であり、scatter gram上、広がりや膨化などの変化が認められた。特異蛍光陽性細胞でも、scatter gram上変化の認められる細胞があり、細胞のdamedgeを低下させる工夫がさらに必要とされた。
3: やや遅れている
非特異的に核内に蛍光が認められ、probeが核膜を超えて侵入している、あるいは細胞死による非特異的蛍光の増加が考えられた。核内の非特異的蛍光を無くし、細胞質内の特異的probeと反応した細胞を得るための工夫が必要とされる。核膜を超えて侵入しない分子量のprobeの設計が必要とされる。生細胞率は90%、かつ特異的蛍光を検知する細胞が90%以上得られるための工夫が必要とされる。
ひきつづき、導入する蛍光色素ラベルprobeの至適分子量の設定を行う。核内より検出される蛍光を保有する細胞を減少させ、細胞質内からの特異的蛍光を保有する細胞の増加を図る技術的な改良を行う。陽性細胞はcell sortingで分離し、RQ-PCR法で、目標癒合遺伝子を保有する細胞が取れているか確認を行う。
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