研究課題/領域番号 |
24590692
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
和田 英夫 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40158704)
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キーワード | モニター / 抗Xa活性 / 血栓予防 |
研究概要 |
I. 抗凝固療法のモニター法の確立 抗Xa活性は、発色基質、Xa、アンチトロンビン(AT)等を用いて、ATを介する系とATを介さない系での抗Xa活性測定法を確立した。合計3つの測定系を確立し、その相関が良いことを確認した。抗Xa活性は、血栓症のモニターにはあまり有効でなかったが、大量出血の予測には有用であった。ATを介する系では薬剤濃度を、ATを介さない系では患者の抗凝固能をより正確に反映した。術後ならびに非術後状態で、フォンダパリヌクス投与時の安全抗Xa濃度を決定した。 II. 止血系分子マーカー 可溶性フィブリン(SF)やD-dimerは抗凝固療法をしていない状態では、血栓症の予測マーカーとなった。抗凝固療法時には、SFやD-dimerは血栓予測能は消失したが、FDPやD-dimerは大量出血の予測に有用であった。可溶性血小板膜糖蛋白VI(sGPVI)の測定系を確立した。sGPVIは血小板活性化疾患で有意に高値であった。整形外科術後の抗凝固療法時でも、FDPやD-dimerと異なり、sGPVIは血栓症を予測する可能性が示唆された。 III. DIC & TTP 播種性血管内凝固(DIC)患者の症例を集積し、止血マーカーの評価をおこなった。リコンビナントトロンボモジュリン(rTM)の治療効果は有用であった。血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断には、ADAMTS13、フォンウイルブランドファクタープロペプタイド(VWFpp)、sGPVIが有用であった。TTPやDICでは補体の活性化が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
I. 抗凝固療法のモニター法の確立 a)抗Xa活性は3つの測定系を確立し、その相関が良いことも確認した。 対象となる整形外科術後患者の充分な症例を集積した。b) 血栓症だけでなく、大量出血と抗Xa活性との関係も検討できた。c) ATを介する系とATを介さない系での、抗Xa活性と臨床dataとの比較検討を行えた。d) フォンダパリヌクスだけでなく、エドキサバン投与時の血漿を、多数例で収拾できた。e) エドキサバンについては、今後抗Xa濃度を測定する予定である。 II. 止血系分子マーカー 多数例の抗凝固療法中整形外科術後患者で、SF、FDPやD-dimerを測定でき、血栓症や出血との関連を調べられた。同様に多数例の抗凝固療法中整形外科術後患者で、経日的にsGPVIを測定し、血栓症や出血との関連を調べられた。肝疾患術後患者でも、同様な検討ができた。また、術式、脾摘の有無、肝硬変の有無なども検討できた。 III. DIC & TTP DICやTTP患者の症例を集積し、ADAMTS13、VWFpp、sGPVI、TMなどの止血マーカーの評価をおこなえた。rTMやアンチトロンビンの治療症例を集積できた。TTPとaHUSの鑑別診断が可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
I. 抗凝固療法のモニター法の確立、 エドキサバンについては、抗Xa活性を測定する。リバロキサバン、アピキサバンなどの抗Xa活性を測定する。低分子ヘパリン濃度を測定する。 II. 止血系分子マーカー 多数例の抗凝固療法中整形外科術後患者で、SF、FDP、D-dimer、sGPVIを測定し、血栓症や出血との関連を解析する。肝疾患術後患者でも同様の測定を行い、術式、脾摘の有無、肝硬変の有無などとの関係を解析する。 III. DIC & TTP DICやTTP患者の症例を集積し、予後とADAMTS13、VWFpp、sGPVI、TMなどの止血マーカーとの関係を解析する。簡易的なaHUS診断法を構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度に検体は収集しましたが、測定できなかったものがあり、次年度にそれらを測定します。 TTPやDICなどは次年度も症例を収集しつつ、測定も行うため。 抗Xa活性: リバロキサバン、エドキサバンなど投与例で測定。sGPVI: 術後症例などで測定。 TTPやDICなどは次年度も症例を収集しつつ、ADAMTS13、VWFpp、sGPVIなどの測定も行う。
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