研究課題
近年、ファーマコゲノミクスに基づくオーダーメイド医療が注目されている。我々はこれまで、患者個人個人に最適な医療を提供する方法を検討して来た。患者個々は、社会生活や家庭生活に差異があり、それに応じた医療を提供することはなかなか難しい。このため、遺伝学的個人差に着目し、薬剤効果や副作用を予測し、個人個人に最適な医療を提供する個別化医療を目指す必要がある。。例えば、抗凝固療法に用いるクロピドグレルは、体内でチトクロームP4502C19(CYP2C19)により、活性体に変換される。このため、CYP2C19の遺伝子多型検査はクロピドグレルの薬剤効果を予測するのに有用である。しかし、抗凝固療法の際に消化管出血予防のためプロトンポンプ阻害剤(PPI)を投与することも多いが、PPIもまたCYP2C19で代謝される。このため、両者を併用すると、クロピドグレルの作用が減弱し、プロトンポンプ阻害剤の作用が増強されることが想定され、実際のそうした報告がある。これらの併用の影響の予測には遺伝子検査がより有用と考えられる。本研究では、ファーマコゲノミクスを用いた2型糖尿病の薬物治療を検討している。平成24-5年度に、2型糖尿病患者74名からインフォームドコンセントを取得した後、検体(末梢血)を採取し、DNAを抽出し、マイクロアレイを用いたファーマコゲノミクス解析を実施した。更に、患者の薬物療法、治療効果などの医療情報と照らし合わせ、今後の薬剤選択、治療選択に活かすべく、中間解析中である。
2: おおむね順調に進展している
初期の試薬輸入が遅れたため、解析のスタートが遅延した。しかし、その後は、患者のリクルートについては、比較的順調にほぼ目標数に達し、マイクロアレイを用いた遺伝子解析も既に実施され、医療情報の収集につとめているところである。今後は、遺伝子データと医療情報を突き合わせて、その関連を解析する予定である。
今後のさらに、詳細な医療情報を収集し、統計解析を中心に進めてゆく予定である。
初年度の試薬輸入が遅延したため、試薬価格の変動があったため、いく分かの差額が生じたものと思われる。本研究の中間報告も実施したが、ファーマコゲノミクスの普及のために、この期もさらに多くの機会で発信することに努めたい。また、国内外の情報収集のためにも、会議への出席に使用したい。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
Int J Cadiol
巻: 173 ページ: e63-66
10.1016/j.ijcard.2014.03.135.
Rinsho Shinkeigaku
巻: 54 ページ: 200-206
Clin Dev Immunol
巻: - ページ: -
10.1155/2013/936063
10.1155/2013/982163
Ann Transplant
巻: 18 ページ: 349-357
10.12659/AOT.883974.
Nephrol Dial Transplant
10.1093/ndt/gft034.
Circ J
巻: 77 ページ: 1436-1444
臨床病理
巻: 61 ページ: 1018-1025
日本内科学会誌
巻: 102 ページ: 3103-3109
臨床検査
巻: 57 ページ: 726-730
巻: 61 ページ: 428-433
日本臨床検査自動化学会会誌
巻: 38 ページ: 169-172
腫瘍内科
巻: 11 ページ: 640-643