研究課題/領域番号 |
24590697
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
竹内 啓晃 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (90346560)
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研究分担者 |
公文 義雄 高知大学, 医歯学系, 准教授 (40215033)
杉浦 哲朗 高知大学, 医歯学系, 教授 (50171145)
森本 徳仁 高知大学, 医学部附属病院, その他 (60398055)
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / 細胞分裂 / CdrA / FtsZ / minシステム / 分子相互作用 |
研究概要 |
ピロリ菌の細胞分裂機序を解明する目的でminとftsZ遺伝子を中心に解析している。H24年度に各min遺伝子の作用機序を形態・増殖・分裂において解析し幾つかの知見を見出した。H25年度はピロリ菌体内での各Min蛋白(MinC, D, E)とFtsZ間の分子相互作用を解析した。先ず野生株HPK5の遺伝子情報を基に各遺伝子をクローニング、His融合蛋白を作成しウサギ免疫にて各4種類の抗体(MinC, D, E, FtsZ)を作成した。それら各抗体を使用してHPK5株を中心に免疫沈降後にウエスタンブロット解析を実施し各分子間の菌体内動態(結合)を証明した。興味深いことに、FtsZと各Min蛋白の結合は強固であったが、各Min蛋白間同士の結合はFtsZに比べると弱く、このような報告は認められない。これらの現象を再確認しながら生物学的意義を検証している。また、各min遺伝子破壊株での分子間結合性及び精製した各His融合蛋白を使用した菌体外での分子間作用(介在分子の必要性の有無等の確認)についても解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ピロリ菌の細胞分裂に関する報告はなくゲノム解析による機能予測だけであったが、我々の解析によりピロリ菌のminシステムの作用は形態・増殖・分裂やFtsZ局在制御の点で大腸菌とは全く異なる可能性を示した。さらに、それら蛋白のHis融合蛋白を作成しウサギ免疫にてようやく4つの抗体を作成することができた。これによりピロリ菌体内での分子相互作用(結合性)の解析が進み、免疫沈降―ウエスタンブロット解析にて各蛋白間の分子相互作用を証明した。その結果、これまでに報告のない興味深い知見を得た(上記概要で記載)。
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今後の研究の推進方策 |
得られた知見・結果をさらに検証・解明するために各遺伝子破壊株(特にminC, D, E遺伝子破壊株)を使用し、分子間相互作用を野生株と比較して解明を進めている。また、菌体内と菌体外(精製蛋白使用)での分子相互作用を比較することによりそれらの作用に関与あるいは介在する分子の存在等を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の計画実施自体はほぼ予定通りに順調に進行した。しかし、初年度のピロリ菌における複数の細胞分裂関連遺伝子を変異させた破壊株の作成に予想以上の時間を費やしやや遅れた影響で、遺伝子破壊株での分子相互作用の解析が途中であり、繰越金が生じた。 次年度は遺伝子破壊株での分子相互作用の解析を終了させると共に、予定通りの菌体外での解析を実施する。さらに、蛋白合成阻害剤を用いた解析も新たに加えて研究を遂行し成果を論文化する。
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