研究課題/領域番号 |
24590698
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
杉浦 哲朗 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50171145)
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研究分担者 |
公文 義雄 高知大学, 医歯学系, 准教授 (40215033)
森本 徳仁 高知大学, 医学部附属病院, その他 (60398055)
高田 淳 高知大学, 医歯学系, 教授 (90206748)
竹内 啓晃 高知大学, 医歯学系, 講師 (90346560)
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キーワード | 急性冠症候群 / 血小板凝集・活性化 / ヘリコバクター・ピロリ / 菌体膜蛋白 / 白血球 |
研究概要 |
ピロリ菌関連血小板減少性紫斑病の解析から、血小板凝集・活性化を誘導する菌体成分の存在を証明し、その菌体成分(lpp蛋白)を同定した。そこで、国民の約半数が感染しているピロリ菌と死因の上位に位置する心・血管イベントとの関連性を解明することを目的に研究を進めている。ウサギ免疫で特異抗体(抗lpp抗体、ポリクローナル抗体)を作成し、患者検体を使用して関連性を解析している。 ピロリ感染急性冠症候群の患者のみから反応陽性となった血清を見出し、ピロリ感染(標的菌体成分の血中移行)と本病態との関連性が示唆されている。現在も詳細な解析を進めており、さらに他の免疫担当細胞(白血球やマクロファージ)の関与も視野に入れて研究は展開されている。また、動物感染実験も実施しながら検証を進め、同時に、既存の抗血小板凝集阻害作用を有する治療薬剤あるいは化合物を用いて本菌体成分の血小板活性作用機序も解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
死亡原因の上位に位置する心・血管イベント(急性冠症候群:ACS)の病態発症におけるピロリ菌感染の関与を解析している。特に、ヒト血小板凝集・活性化を誘導するピロリ菌lpp膜蛋白を中心に行っている。今年度は作成した特異抗体を使用し約100名からの患者検体(血清)との反応性を解析した。その結果、一部の患者から陽性反応を認め少なくともこの菌体成分は血中に存在(移行)することを証明した。さらに、反応陽性者はピロリ感染ACS患者であり非感染ACS患者からは検出されず、ピロリ感染(血中内菌体成分の移行・存在)とACS病態との関連性が示唆された。しかし、ピロリ感染ACS患者でも陰性例は多く、さらなる解析が必要である。おおむね予定通りに進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
25年度の患者検体を使用した解析結果から、ピロリ感染(lpp蛋白の血中内移行)が本病態に関与する可能性が示唆された。しかし、反応陰性となるピロリ感染ACS患者は多くさらに解析が必要である。そこで、26年度以降は、(可能であれば)血清のみならず血栓clotなどの組織を使用してこの菌体成分lpp蛋白の検出を試みる(或いは検出感度を増強させた解析を行う)。さらに、白血球やマクロファージの関与も解析するため動物感染実験を実施する予定である。 また、治療法も念頭に既存薬剤による抑制効果を先ずvitroで解析し、その後、動物実験などのvivoにて検証を行う研究の推進方策である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の計画実施自体は予定通りに進行した。しかし、初年度の倫理審査委員会からの臨床検体使用における研究承認に手間取りやや遅れた影響で、今年度実施予定(終了)であった動物実験と治療を目的とした抗血小板凝集阻害効果の検証が途中である。 初年度の影響で後に押しているが、研究は順調に進行しているので次年度は現在進行中の動物実験および抗血小板阻害効果の検証を終了し、研究成果をまとめて論文化までできると思われる。
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