研究課題/領域番号 |
24590699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大林 光念 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (90361899)
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研究分担者 |
安東 由喜雄 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (20253742)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ニューロパチー / 加齢変化 / アンチエイジング |
研究概要 |
40歳以上の日本人の約 50% に出現する四肢末梢のしびれ、異常感覚、疼痛の二大原因は「加齢変化に伴うニューロパチー」と「生活習慣病に起因するニューロパチー」である。しかし、この両者の正確な鑑別は極めて困難で、このことが特に後者の早期診断、早期治療を妨げ、予後の悪化を招いている。本研究では、①「加齢変化に伴うニューロパチー」を的確に鑑別しうる新規の生化学的・遺伝学的指標を同定、活用することで、② 治療法のある「生活習慣病に起因するニューロパチー」の早期診断を確実なものにすることを目的とする。さらに、同定し得た指標を糸口に、③ 「加齢変化に伴うニューロパチー」の発症機構に迫り、未だ治療法の確立していない同疾患群、ひいては老年病全般に有効な、新しいアンチエイジング療法の考案を目指す。 計画初年度である平成24年度は、自身の所属する施設に所蔵されている高齢のニューロパチー、老年病の典型的 phenotypeである原発性骨粗鬆症の各患者、および健常高齢者から得た生検皮膚ホルマリン固定組織や血清、および DNAを、LC-MS/MS法、およびGenome DNA アレイを用いて解析し、群間比較を行うことにより、加齢に伴うニューロパチーが出現、進行する過程において、質的・量的に変動する蛋白質、遺伝子を探索した。結果として、まずは複数の変動する蛋白質、遺伝子が挙がってきており、次年度以降、これらの蛋白質、遺伝子に関する機能解析を行うことによって、加齢変化に伴うニューロパチーを的確に鑑別しうる新規の生化学的・遺伝学的指標を同定していく予定である。また、本研究の過程で、高齢の家族性アミロイドポリニューロパチー (FAP) 患者が多くもつ自己抗体を発見した。この知見は、本疾患において、同一の遺伝子変異を持ちながら発症年齢の異なる群が存在する理由を説明しうる、一つの有力な材料となる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画初年度である平成24年度は、自身の所属する施設に所蔵されている高齢のニューロパチー、老年病の典型的phenotypeである原発性骨粗鬆症の各患者、および健常高齢者から得た生検皮膚ホルマリン固定組織や血清、および DNAを、LC-MS/MS法、およびGenome DNA アレイを用いて解析し、群間比較を行うことにより、加齢に伴うニューロパチーが出現、進行する過程において、質的・量的に変動する蛋白質、遺伝子を探索した。結果として、まずは複数の変動する蛋白質、遺伝子が挙がってきており、次年度の研究に向けての準備がある程度整った。しかし、検討した高齢のニューロパチー、原発性骨粗鬆症の各患者について、当初の計画に比べると症例数がやや不足しており、その遅れについては次年度に取り戻さなければならない。
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今後の研究の推進方策 |
加齢に伴うニューロパチーが出現、進行する過程において、質的・量的に変動する蛋白質、遺伝子を複数ピックアップできたことから、次年度以降、これらの蛋白質、遺伝子に関する機能解析を行うことによって、加齢変化に伴うニューロパチーを的確に鑑別しうる新規の生化学的・遺伝学的指標を同定していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度やや不足した高齢のニューロパチー、原発性骨粗鬆症の各患者から得た生検皮膚ホルマリン固定組織や血清、および DNAを用いてのLC-MS/MS法、およびGenome DNA アレイによる解析を行うために研究費を用いる。さらに、前年度の検討により候補に挙がってきた各種蛋白質の機能を、in vitro、in vivo双方で解析するためにも、次年度の研究費を用いる。
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