研究課題
40歳以上の日本人の約50%に出現する四肢のしびれ、異常感覚、疼痛の二大原因は、加齢変化に伴うニューロパチーと生活習慣病に起因するニューロパチーである。しかし、両者の正確な鑑別は極めて困難で、このことが特に後者の早期診断、早期治療を妨げている。本研究では、加齢変化に伴うニューロパチーを的確に診断しうる新規の診断指標を同定、活用することで、治療法のある生活習慣病に起因するニューロパチーの早期診断を確実なものにすることを目的とした。計画初年度の平成24年度には、まず自施設に所蔵されていた高齢のニューロパチー患者、老年病の典型的phenotypeである原発性骨粗鬆症患者、および健常高齢者の生検皮膚ホルマリン固定組織や血清、尿、DNAをLC-MS/MS法、あるいはゲノムDNAアレイを用いて解析し、加齢に伴うニューロパチーが出現、進行する過程で質的・量的に変動する蛋白質、遺伝子を探索した。結果として、まずは複数の変動する蛋白質、遺伝子が挙がった。そこで計画2年目の平成25年度には、これら候補蛋白質、遺伝子に関する機能解析を行い、これらのうち加齢変化に伴うニューロパチーを鑑別しうる最適な指標はどれか、その絞り込みに努めた。絞り込みの結果、尿中FABP、あるいは血中、尿中Glycer-AGEsがその有力な候補と考えられた。平成26年度には、上記平成25年度のデータをもとに更に検討を進め、生化学的指標としての尿中FABP、血中、尿中Glycer-AGEsに加え、生理学的指標としてAδ特異的痛覚閾値、病理学的指標として末梢神経組織に沈着するリン酸化α-シヌクレインの定量値を用いることで、加齢変化に伴うニューロパチーの鑑別により近づけるという結論を得た。また同年度には、以上の内容に関連するの英文学術論文を2報投稿済みである(Diabet Med 2015 in press: Deabetes Care, 投稿中)とともに、本研究から派生した内容の論文も4報、報告済みである(研究発表欄参照)。
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Diabet Med
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