• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

肺癌における幹細胞複製分子の発現解析と新規治療標的への応用

研究課題

研究課題/領域番号 24590701
研究種目

基盤研究(C)

研究機関札幌医科大学

研究代表者

小林 大介  札幌医科大学, 医学部, 講師 (50295359)

研究分担者 渡邉 直樹  札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
田中 真樹  札幌医科大学, 医学部, 助教 (40207139)
栗林 景晶  札幌医科大学, 医学部, 講師 (50381257)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード肺癌 / 幹細胞 / 複製分子 / 治療標的
研究概要

本研究では、幹細胞複製分子群が、非再生性臓器である正常肺では殆ど発現しない点に着目し、肺癌細胞に特異性が高いマーカーの同定と治療標的への応用を目指している。
本年度は、候補分子を絞り込むため、各種癌における幹細胞複製分子の発現解析を行った。すなわち、各種臓器(肺、乳腺、大腸、膵)由来の癌組織における複製分子(SALL4、Nanog、SOX2、Oct4など)のmRNA発現量および蛋白発現レベルを調べ、非癌組織のそれと比較検討した。その結果、肺癌ではSALL4およびNanogの陽性率が高く、早期から進行期まで幅広く高発現していた。また、両分子間で比較すると、SALL4の検出感度および特異度がともに92%と優っていた。一方、Nanogの肺癌検出能はSALL4に比べ若干劣るものの、臓器特異性が最も高かった。
そこで、SALL4に対するsiRNAを用い、癌細胞の増殖や細胞死に及ぼす影響を解析した。その結果、SALL4の発現を80%以上抑制すると、ほぼ完全な増殖停止がみられ、その機序は主にG1期停止であった。Nanogに対するsiRNA導入細胞でも、SALL4のそれと比べ弱いものの、増殖抑制効果が確認された。また、SALL4に対するsiRNAとシスプラチンとを併用したところ、相乗的な増殖抑制効果を発揮することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「幹細胞複製分子の発現解析」:各種臓器由来の癌組織における各複製分子のmRNA発現レベルを非癌組織のそれと比較し、肺癌の検出においてはSALL4が最も高い感度と特異性を有することを、明らかに出来た。また、Nanogについては、SALL4に比べ感度と特異度は若干劣るものの、臓器特異性が高いという特徴を見出した。免疫組織染色については、複数の抗体を用いて試みたが、現時点では染色像は得られておらず、次年度以降の継続課題である。
「幹細胞複製分子を標的とした癌治療法の開発」:SALL4に対するsiRNAを用いると、G1期停止を介して肺癌細胞の増殖をほぼ完全に抑制出来ることを明らかにした。また、SALL4に対するsiRNAと抗癌剤との相乗効果も見出し、現在機序の解析を行っている。さらに、NanogについてもsiRNAによる増殖抑制が確認された。SALL4に対するsiRNAとの併用効果については、次年度への継続課題とした。以上の結果より、本研究課題はほぼ順調に進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

1) SALL4およびNanogの免疫組織染色については、他の抗体や高感度検出試薬を用いて、検出能の改善を図る。
2) SALL4とNanogに対するsiRNAの併用効果についても検討し、相加効果以上の細胞傷害性がみられるか解析する。
3) 現在肺癌の治療に用いられている分子標的の発現や変異を調べ、SALL4やNanogを対象とした方策のニーズがどの程度あるか解析する。たとえば、EGFRの発現が低い、あるいは発現があっても治療高感受性の変異がない群や、EML4-ALK融合蛋白の発現がみられない症例において、SALL4やNanogの高発現例がどの程度存在するか患者組織を用いて解析する。
4)臨床応用に向け、継続的抑制を目的としたsiRNA発現ベクターの作製や、テトラサイクリンなどを用いたスイッチオンオフの系を開発する。
5) siRNAと抗癌剤との併用効果について、パクリタキセルやカルボプラチンなど検討薬剤の範囲を広げる。
6) 以上の成果を基盤として、in vivoの検討を行う。すなわち、肺癌細胞皮下移植ヌードマウスに、SALL4やNanogに対するsiRNAを局所投与し、その効果を確認する。また、キナーゼ遺伝子導入肺癌発症マウスに対し、リポソームなどのナノ粒子に抱合したsiRNA発現ベクターを全身投与し、治療効果が得られるか否か検討する。

次年度の研究費の使用計画

当初の研究計画で提出した、細胞培養試薬、核酸抽出試薬、PCR試薬、各種抗体、遺伝子/蛋白発現制御試薬、細胞周期/アポトーシス検出試薬に加え、各種抗癌剤の購入に使用する計画である。
一部、若干研究の遅れにより、977,328円を次年度へ繰り越した。当該研究は平成25年度に行うので、繰越金はそれに使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Reconstructing a 3-dimensional image of the results of antinuclear antibody testing by indirect immunofluorescence.2013

    • 著者名/発表者名
      Murai R, Yamada K, Tanaka M, Kuribayashi K, Kobayashi D, Tsuji N, Watanabe N.
    • 雑誌名

      J Immunol Methods

      巻: 387 ページ: 312-316

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi