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2013 年度 実施状況報告書

肺癌における幹細胞複製分子の発現解析と新規治療標的への応用

研究課題

研究課題/領域番号 24590701
研究機関札幌医科大学

研究代表者

小林 大介  札幌医科大学, 医学部, 講師 (50295359)

研究分担者 渡邉 直樹  札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
田中 真樹  札幌医科大学, 医学部, 助教 (40207139)
栗林 景晶  札幌医科大学, 医学部, 講師 (50381257)
キーワード肺癌 / 治療標的 / 幹細胞複製分子 / 治療耐性因子
研究概要

本研究では、幹細胞複製分子群が、非再生性臓器である正常肺では殆ど発現しない点に着目し、肺癌細胞に特異性が高いマーカーの同定と治療標的への応用を目指している。
本年度は、肺癌における発現上昇に加え、発現抑制による細胞周期特異的な肺癌細胞の増殖停止を可能にすることから、SALL4が治療標的として極めて理想的な分子である可能性が高いと判断し、研究を進めた。組織型の異なる肺癌(腺癌および小細胞癌)細胞に各種濃度のSALL4 siRNAを添加後前培養し、予めSALL4の発現を50%程度低下させ、シスプラチンやカルボプラチンと共培養したところ、再現性を持って抗癌剤感受性が低下した。すなわち、SALL4が肺癌においてプラチナ製剤に対し耐性因子として働くことが明らかとなった。また、この際の細胞周期の変化について調べたところ、SALL4の機能するG1期の停止やsub-G1細胞の増加ではなく周期非特異的であることを確認した。さらにSALL4発現ベクターを導入した肺癌細胞を作製し、トランスポーター分子ABCG2やABCA3、MAPK等のSALL4に制御される分子群の発現を調べたが変化はみられなく、他の機序を介して耐性分子として働くことが示唆された。また、少数例ではあるが、治療前の肺癌組織におけるSALL4の発現量と治療効果との関係を調べたところ、発現量の高い症例において治療効果が低い傾向を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

幹細胞複製分子の発現・機能解析については、SALL4に対するsiRNAを用いると、プラチナ製剤の感受性増強が可能であることが明らかとなった。また、少数例ではあるが、治療前のSALL4発現量が高い症例で抗癌剤の治療効果が低い傾向が分かった。以上の結果から、SALL4が肺癌において治療耐性因子として働いている可能性を示唆し得た。SALL4による耐性発現機序および治療標的としての有用性については、最終年度への継続課題とした。以上の結果より、本研究課題はほぼ順調に進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

1) siRNAと抗癌剤との併用効果について、プラチナ製剤以外にもパクリタキセルなど検討薬剤の範囲を広げ、SALL4が抗癌剤の種類によらず耐性因子として働くか否か結論付ける。
2) siRNAおよびSALL4発現ベクター導入細胞を用いてSALL4による抗癌剤耐性機序を解析する。
3) 抗癌剤治療を受けた肺癌で、治療前に組織あるいは細胞の入手可能症例について、SALL4を含めた分子標的(EGFRやEML4-ALK)の発現や変異を調べ、SALL4を対象とした方策のニーズがどの程度あるか解析する。さらに、in vivoでの治療標的としての有用性について検討したい。以上、研究計画書に記載した方針に従い、特に大きな変更は無く、研究を進めることが可能である。

次年度の研究費の使用計画

一部の実験を平成25年度と平成26年度の両年度で行うこととなったため。
次年度使用額670,838円は、上記の研究を推進するため、試薬・薬品、細胞培養器具の購入に使用する予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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