研究課題/領域番号 |
24590703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
宮崎 浩二 北里大学, 医学部, 講師 (90261966)
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研究分担者 |
東原 正明 北里大学, 医学部, 教授 (80165084)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非筋ミオシン |
研究概要 |
Aim1. 分泌型および非分泌型マウス骨髄腫細胞株を用いて、核内蛋白質とmyosinVIとの局在を共焦点蛍光顕微鏡で観察した。核内蛋白質も近年知見が蓄積されており、myosinVIが実際にある条件下で何処に局在するか、イメージングの限界もある。蛋白質同士の結合を生化学的にも証明するため、免疫沈降を行っている。マイクロアレー実験は未だ準備中である。また、25年度に向けてRNA干渉による発現抑制のためのコンストラクト作り、myosinVIの尾部にGFP標識蛋白をラベルした発現ベクターを作成中である。 Aim2. 3種類のJurkat由来細胞株(野生株、E6-1亜株、MYL9遺伝子導入株)をもちいて、細胞表面のCD3の発現レベルおよびキナーゼ阻害薬等による発現変化をフローサイトメーターで測定した。PMA刺激やカルシウムイオノフォアで野生株も細胞表面CD3発現が増加した。さらに、CD3の細胞表面発現に関わるシグナル伝達経路を特定するため、各種特異的キナーゼ阻害剤などを用いてCD3発現への影響を観察しており、今後より特異的に伝達経路を絞っている。これまでに得られた知見からは、主要な伝達経路は一つではなく、おそらくいくつかの伝達経路が相関していると思われる。 Aim3. RUNX1変異によりその転写活性が抑制されている血液細胞株Kasumi-1はMYL9発現レベルが低下していた。他の血液細胞株と細胞骨格構造の違いを検討中である。また、RNA干渉によるMYL9発現抑制のためのコンストラクト作りを行っている。 Aim4. マウスES細胞、分離巨核球を用いてproplatelet形成をフィブロネクチンが亢進することがわかった。フィブロネクチンを用いると効率よくproplatelet形成を誘導できるので、各種阻害剤の影響を検討しやすくなった。今後はフィブロネクチンの有無による違いも比較検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的が4つの大きな柱にわかれており、それぞれ並行して研究を行っているが、ミオシンスーパーファミリーを軸に多岐に及んでいるため、同時に各テーマを進行できていない。とくに、これまでに実験経験の少ないマイクロアレーは次年度に移行した。一方、myosinVIの形態変化等の実験から興味深い結果が得られており、さらに深く分子機構を解析中である。実際実験を行い意義深い結果が得られたものから優先的に順次進行させている。 また、4つの研究目的は、それぞれ血液疾患(骨髄腫、血小板造血)に互いに密接に関連しており、研究目的どうしの関連領域にも広げて検討中であるので、一部の実験で当初のプロジェクト計画より遅れているが、より有意義な研究成果を出すためあえて関連領域を広げており、全体としては、概ね順調に進行していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
Aim1.myosinVIの発現抑制や尾部のみの変異体の強制発現によるドミナントネガティブ効果をもちいて、骨髄腫細胞株の細胞表面マーカ測定をし、その変化を検討する。また、myosinVI発現の細胞遊走能への影響ををBoyden chamberで測定する。さらに、ミオシンVI 尾部bait としてYeast two-hybrid 法により、myosinVI と直接結合する蛋白質(転写因子など)をライブラリー(池辺より提供)からスクリーニングする。骨髄腫の新規治療薬であるプロテオソーム阻害剤や免疫調節作用を有するレナリドミド等の薬剤感受性との関連も検討する。 Aim2.細胞表面にCD3を発現している細胞ではRNA干渉により、発現していない細胞に関しては強制発現ベクターによりそれぞれMYL9の発現を変化させ、T細胞の免疫シナプス形成を検討する。免疫シナプスは、Aim1で用いるレナリドミド等の免疫調節作用を有する薬剤によりどう変化するか、Aim1とも関連して検討を進める。 Aim3.RUNX1変異により様々な蛋白質の発現が抑制されているKasumi-1細胞株にMYL9のみ強制発現で救援し機能が完全に回復するか部分的かを検討する。また、リン酸化部位特異的モノクローナル抗体を用いてMYL9のリン酸化レベルも核実験において、常にモニターしていく。 Aim4.培養巨核球のproplatelet形成をMYL9発現レベルをRNA干渉や尾部のみの強制発現させるなどしてMYL9のリン酸化レベルとともに検討する。また、巨核球表面膜糖蛋白受容体のclusteringにはアクチンーミオシン系の細胞骨格が関与しているので、MYL9の発現およびリン酸化の影響も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度と同様に、各種試薬やキット、抗体等が実験に必要な出費の主体となる。それ以外にはAim1の研究に必要なBoyden chamberやマイクロアレー実験に必要な実験試薬、キットなどの出費が必要となる。磁気ビーズによる細胞分離キットや遺伝子導入試薬等もかなり必要と思われる。また、これまでの成果を吟味し、次年度は積極的に国内外の学会発表を行うとともに論文化の準備をしていくため、出張費や英文校正料などの諸経費も増えて来ると思われる。
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