研究課題
Aim1. 分泌型、非分泌型のマウス骨髄腫細胞株をもちいたmyosinVIの局在を調べるとともに、臨床検体(病理標本)にて非分泌型になった骨髄腫細胞、BJP型骨髄腫細胞をmyosinVI抗体で免疫染色を行い、マウス細胞株と同様の局在パターンを得た。今後症例数を増やすことを検討中である。Aim2およびAim3. 亜型および野生株のJurkat細胞を用いてCD3の細胞表面への発現変化に対して、各種薬剤の影響を調べている。CD3の細胞表面への発現レベルは、同じ細胞株であっても徐々に変化することがわかり、実験に用いる細胞はpassage数をある程度限定する必要があった。siRNAをもちいてMYL9をノックダウンしてCD3の細胞表面発現を検討しているが、細胞間のばらつきがあり、確証的な結果を得られていない。また、MLY9のリン酸化レベルを区別して検出することにより1リン酸化と2リン酸化の機能に及ぼす違いを検討すべく実験系を立ち上げている。Aim4. あらたな先天性巨大血小板減少症の原因遺伝子としてアクチン繊維に結合する細胞骨格タンパク質アクチニンを同定した。このアクチニンの異常もふまえて巨大血小板減少症の分子病態を検討することとした。
3: やや遅れている
大学院生が卒業し研究を実際に行う人員が減少した。もともと研究テーマが非筋ミオシンを軸に血液細胞全般に多岐にわたっていることもあり、それぞれのAimsについて研究をこれまで通りのスピードで進めることに関して、若干支障を来す可能性がある。一方、各々のAimは血液疾患(骨髄腫、白血病、血小板造血)において互いに関連しており、特に骨髄腫に関して、骨髄腫細胞(Aim1)と免疫細胞(Aim2)は、骨髄腫治療に重要な細胞であるので総合的にすすめている。
Aim1. myosinVIの核内移行および核内での機能解析に関して、核分画蛋白質を用いてmyosinVI抗体を用いて共沈実験を試みているが、myosinVIと核内で結合している蛋白質を同定できていない。タンパク量が十分でないので、GSTを結合させたmyosinVI蛋白質を用いて結合する蛋白質を探索しようとしている。この方法であれば、myosinVIを変異させ結合部位の同定のための実験にも用いることができる。Aim2およびAim3. siRNAによるMYL9ノックダウン実験における細胞間のばらつきは、RNA干渉を発現ベクターで恒常的にノックダウンしている細胞を用いることで解消する。また、MYL9のリン酸化レベル(1リン酸化と2リン酸化)を区別して定量的に調べる実験系を確立中である。Aim4. 新たに同定した原因蛋白であるアクチニンにも注目してアクチニン変異がアクトミオシン細胞骨格に及ぼす影響を調べる。
実際に実験を行う人員(大学院生)の減少もあって、当初の研究計画自体がすべて完遂できていない。次年度に繰り越して、研究計画を遂行したいと考えている。各々のAimsにしたがって追加実験をすすめる。また、Aimsどうし関連する骨髄腫治療について、分子機構から解明するという発展的なテーマへ展開して行きたい。
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