研究概要 |
臨床分離の抗菌薬耐性株を収集し、表現型と耐性遺伝子の解析を行った。 第三世代セファロスポリン耐性のE.coliは、表現型がESBL産生を示唆するデータであったものは矛盾なくCTX-M typeの遺伝子を検出した。 表現型と遺伝子型が不一致または耐性遺伝子が不明な耐性菌は、K.pneumoniae, E.cloacae, P.aeruginosa, A.baumanniiで多く存在した。 なかでも、表現型ではmetallo βlactamase(MBL)産生が示唆されたP. aeruginosaでは、我が国で高頻度に責任遺伝子として検出されるIMP型、VIM型遺伝子が検出されないものが複数分離された。また、カルバペネム耐性A. baumanniiの耐性表現型の解析では、MBL産生が示唆されるものと、それ以外の機構でカルバペネム耐性獲得をしている株がほぼ半数ずつ存在することが明らかとなった。これらの耐性遺伝子を解析したところ、カルバペネム耐性P.aeruginosaでの現象と同様に、IMP型あるいはVIM型遺伝子は検出されなかった。また、MBL以外の機構では、数株にOXA23遺伝子が検出された。A.baumanniiにおけるOXA23は地球規模で蔓延している多剤耐性A.baumanniiの耐性機構であり、その検出は臨床疫学的に重要な情報となった。2013年度中に、MBL陽性の表現型を持つP.aeruginosaとA.baumanniiの耐性責任遺伝子のクローニングを開始した。
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