研究課題
1. 平成26年1月から27年9月の期間にNICU内でアウトブレイクしたカルバペネム耐性Enterobacter cloacaeの耐性機構解析と分子疫学解析を行った。カルバペネム耐性株のみでなく、第三世代セファロスポリン耐性株に解析を拡大して行ったところ、MBL gene保有株も多く認められた。パルスフィールド電気泳動の結果、同一切断パターンを示し、同一株であると判断された株で、かつMBL gene保有があっても、カルバペネムのMIC値は多様であった。MBL geneがプラスミド伝達性か否かを確認する目的で、E.coliへの接合実験を行ったところ、伝達が証明され、IMPをコードするインテグロンが同定された。また、継代することで、表現型ではカルバペネム感受性となった。この現象からも、MBL geneの発現は容易に変化することが明らかである。MBL gene保有株を見逃さずに検出する手法の設定が今後の課題となる。2. 平成28年7月から9月に救急センターで複数患者からMDRPが分離された。表現型でメタロβラクタマーゼの存在が示唆されていたが、IMP1, VIM2は分離されなかった。MBLのクローニングを試みたところ、当院で始めて IMP7を保有するインテグロンを同定した。本株と平成26年から当院で分離されたすべてのMDRPとパルスフィールド電気泳動パターンを比較したところ、救急センターで平成26年3月と11月の患者由来株と一致し、これらはIMP7を保有していた。同一MDRPの院内での長期間の定着が示唆された。3. 平成27、28年にはリネゾリド耐性S.aureusとリネゾリド耐性E.faecalisが分離された。これらの耐性機構解析の結果、従来報告されている23S rRNA V領域の変異、cfr geneの保有はいずれの株からも検出されなかった。今後耐性機構の解析を継続する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Journal of Infection and Chemotherapy
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
in printing
Biol. Phar,. Bull.
巻: 39 ページ: 1195-1200
Glob Pediatr Health.
巻: 3 ページ: 1-7
10.1177/2333794X15625297