研究課題/領域番号 |
24590715
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
玉置 知子(橋本知子) 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10172868)
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研究分担者 |
吉川 良恵 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10566673)
森永 伴法 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10351818)
久保 秀司 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10441320)
中野 孝司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10155781)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 悪性中皮腫 / 3p領域 / クロマチンリモデリング / ゲノム多型 |
研究実績の概要 |
日本人の悪性中皮腫(MM)について、腫瘍の初代培養から樹立されたMM細胞(兵庫医科大学での樹立株)のうち、上皮型5細胞(BAP1:-/-2株、-/+1株、変異なし2株)、非上皮型3細胞(変異なし)の計8細胞を選択し、全エクソーム解析を行った。 我々が既に報告しているCDKN2A、BAP1と他施設が報告したNF2以外に、細胞の2/3以上に共通する遺伝子変異は新たに見つからなかった。そこで少なくとも1細胞の両アレルにvariant・欠損がある遺伝子を拾い上げ、annotation分析したところ、クロマチンリモデリング・mSWI/SNFパスウェイが挙がってきた。8細胞ともSWI/SNF遺伝子群の4遺伝子のうち1つ以上の遺伝子に変異があった。BAP1変異を持つ3細胞は、ヒストン修飾4遺伝中2遺伝子に、BAP1変異がない5細胞は転写因子・コファクター16遺伝子中2遺伝子以上に変異があった。シグナル伝達関連8遺伝子にも5細胞で変異があった。Variantの大半は稀なゲノム多型として報告されていたが、機能障害性変異であることが示唆された。一方、我々はMM治療薬剤としてヒストン脱アセチル化阻害剤(HDACI)に注目したが、有効な効果は得られなかった。ゲノム解析結果から、HDACIが効果を発揮できない要因は、クロマチン構造を保つ遺伝子群にMMは機能異常を持つためと推測された。 続いてMM患者のgermlineで上記variantの有無を検討したところ、大多数のvariantが1アレルに検出された。BAP1を含む3p領域がホモ接合の例もあった。この結果は、germlineでのvariant検出でリスクアセスメントが可能であることを示唆している。 なお、BAP1変異率は我々の報告が最も高く論議の対象となっていたが、他施設では混在する正常組織の分別が不十分で検出率が低かった可能性も判明した。
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