研究課題/領域番号 |
24590716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
隈 博幸 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (40435136)
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研究分担者 |
濱崎 直孝 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (00091265)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / 磁気検出 / ホモジニアス / 免疫検査 |
研究概要 |
1)微粒子改良(磁気マーカーの粒径制御技術の開発):磁気/高分子複合粒子の粒径制御について検討を行い、全体のサイズが100 nm程度かつ溶液中において高い分散性を示す複合ナノ粒子作製の可能性について、市販の磁気マーカーとの比較検討を行いながら吟味した。検討点は、(1)コーティング剤(高分子繊維素材)の材質検討、(2)粒子に付着させる電荷の検討、(3)マーカー液の添加剤(有機的分散剤、界面活性剤、pH等)であった。その結果、現状で市販のマーカーと同程度の性能をもつマーカーは作製可能であったが、理想とする分散性を持つマーカーの作製という点において、来年度以降に引き続き検討を行うこととなった。 2)臨床評価(検査プロトコールの確立):各種蛋白質(免疫グロブリンやサイトカイン)、及びカンジダ菌等の検出実験を通して、磁気的検査のための検査工程を開発し、BF分離不要な液相での磁気的検査法の定量性を確立した。現在、IL-4, IL-8, IgG, IgE,TSHについて安定的な検量線が得られており、かつ一次抗体固定化ビーズを導入することにより大幅な手間と検出時間の短縮が成果として挙げられる。加えて、がん関連物質であるIL-2R、ホルモンであるpTHの微量検出についてもフェムトモルレベルで成果が出つつある。本成果は、平成25年度に国際臨床化学会(IFCC)にて報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に設定した目標は、微粒子開発、臨床プロトコール開発、磁場検出技術の改良の3点である。このうち、磁場検出技術については、装置製作者である日立製作所と共同で最適な磁場負荷のタイミングを検討し自動化に対する目途をつけた。また、臨床プロトコール開発については、一次抗体固定化ビーズの開発がほぼ完了し、実用化に十分耐えうるビーズであることを実験結果として得ている。今後、論文発表、学会発表等を通じその成果を公表予定である。一方、微粒子開発については、市販品を超える性能(分散性)を持つ磁気マーカーについての検討を重ねているところであるが、現実にはまだ完成していない。 このように、計画より進展している小テーマ、計画より遅れている小テーマが混在しているが、総じておおむね当初予定通り進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本手法において、検出感度の向上に資する重要な点は、分散性の良い磁気微粒子を開発することであり、これによりノイズの減少および検出限界の向上が見込まれる。しかしながら、この小テーマのみ当初予定より遅れて進行しており、本年度はこの微粒子開発に重点をおいて研究を進めていく。また、システム全体としてはある程度出口が見え始めてきており、臨床的に使用できるシステムとしての完成形を作り始めていきたい。具体的には、臨床検体(ヒトサンプル)を用いた総合的・実用的な免疫検査システムの完成を目指し、臨床評価を始めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
市販品の磁気マーカーや反応用基盤(特注)など、消耗品に使用する予定である。研究費が繰り越された理由は、(1)複数の納入業者による競争の結果生じた試薬納入価格の低下、及び(2)磁気マーカーの新規開発の遅れに起因するもの、であり、(1)については特に問題はなく今年度も引き続きそのような制度のもとで安く試薬を購入したいと考えている。また、(2)については当該研究の遅れを取り戻すために磁気微粒子開発の費用に全額を使用したいと思っている。
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