研究課題/領域番号 |
24590717
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
杉内 博幸 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70435163)
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研究分担者 |
松嶋 和美 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (00369125)
安東 由喜雄 熊本大学, その他の研究科, 教授 (20253742)
安楽 健作 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (80389543)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コレステロール / HDL亜分画 / ホモジニアス法 / HDL2 / HDL3 |
研究概要 |
HDLは、HDL2とHDL3の亜分画に分類される。HDL2は抗動脈硬化能を有し、HDL3の増加は動脈硬化を促進させる。HDL2およびHDL3のコレステロール(HDL2-C, HDL3-C)を測定することは動脈硬化性疾患の予防・治療に重要な情報を提供する。本研究は、界面活性剤などを利用してHDL2-C、 HDL3-Cのホモジニアス法を開発し、その臨床応用を目指す。平成24年度の計画は、①健常人血清からのHDL2、HDL3の分離、②基準法となる測定法の確立である。 ①超遠心を用いて、健常人血清34検体(HDL < 70 mg/dl)からHDL2とHDL3を分離した。HDL2の脂質分布(平均値±2SD)は、TC 49.3±18.2 mg/dl、TG 14.1±4.5 mg/dl、PL 90.5±21.8 mg/dl、FC 10.6±3.5 mg/dl、apoA-I 95.8±24.6 mg/dl、apo A-II 22.3±6.8 mg/dl、HDL3の脂質分布は、TC 14.2±2.7 mg/dl、TG 3.3±1.2mg/dl、PL 31.3±8.4 mg/dl、FC 2.3±0.5 mg/dl、apoA-I 46.3±14.1 mg/dl、apo A-II 12.2±3.2 mg/dlであった。 ②HDL2-C、 HDL3-C簡易法として平野らのヘパリン-Mn沈澱法があるが、この方法がホモジニアス法の基準法として妥当であるかどうかを、上述の検体を用いて超遠心法との相関性を検討した。HDL2-Cの相関(x: 超遠心法、y; 平野法)は、n=34、y=1.189x+2.262、r=0.9309、HDL3-Cの相関は、n=34、y=0.703x+0.038、r=0.853となり、高い相関性を示した。これらの結果より、ホモジニアス法の基準法として、当面、平野法を用いることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超遠心によるHDL2(比重1.063~1.125)とHDL3(比重1.125~1.21)の分離は、塩濃度の調整やスライスなど難しいこともあり、ほぼ同一の再現性を得るためにかなりの時間を要した。従って、当初予定していたHPLCおよびアフィニティクロマトグラフィーを用いたLpA-IとLpA-I/A-IIの分離を実施しなかった。 ホモジニアス法を開発するための基準的測定法として、煩雑な超遠心法の代わりに、簡易的な平野らのHDL2-CおよびHDL3-C沈澱法を選択し、その定量的正確性を確認した。平野らの報告ほどの相関性は得られなかったが、本研究に用いる基準法としては十分可能であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、界面活性剤等のHDL亜分画選択性のスクリーニングを中心に行う。これには、かなりの時間を要するものと思われる。 方法としては、HDL2、HDL3、LDL、VLDL、CMの5画分を対象として、428種類の界面活性剤「陽イオン性(n=25)、陰イオン性(n=82)、非イオン性(n=286)、両性(n=8)、その他(n=27)」のリポ蛋白選択性を検討する。次に、選択性のある界面活性剤が見つかった場合、濃度調整、界面活性剤と酵素(コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼなどの測定系の酵素、ホスホリパーゼD、スフィンゴミエリナーゼ等)との組み合わせ等についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では、24年度予算は使い切る予定であった。しかし、年度末に発注予定の試薬(酵素など)で国内在庫がなく納品に1~2ヶ月を要する試薬があったため、次年度持ち越しとした。 次年度研究費(B-A):361,753円、25年度請求額:500,000円 使用計画:①試薬代:600,000円、旅 費:100,000円、その他:161,753円
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