研究課題/領域番号 |
24590722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
河谷 正仁 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00177700)
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研究分担者 |
宮井 和政 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283933)
善積 克 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70553379)
伊藤 登茂子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50241675)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 下腹神経 / 骨盤痛 / 過活動膀胱 / ATP / プロスタグランジン |
研究概要 |
下腹神経反射に基づいた交感神経活動が排尿反射を増強するかの検討を実施した。麻酔したラットの子宮に0.1%酢酸を0.1ml注入し、また膀胱底よりPEチューブ(PE50)を設置した。覚醒後ボールマンケージに拘束し、生理手的食塩水2.4ml/h排尿反射を測定し、排尿間隔、排尿閾値圧、最大排尿圧を検討した。この急性実験ではいずれのパラメータも優位な変化を認められなかった。次に同様の処置を実験3日前に実施し、排尿反射を検討したところ、排尿間隔の短縮(19%)がみられたが、排尿閾値圧、最大排尿圧には変化が認められなかった。この時の骨盤神経節後線維からの放電には大きな変化が認められなかった。また、ラット子宮内にカプサイシン10-6Mを注入し同様に検討を実施したところ、同日に実施した排尿反射の3つのパラメータに変化がなかったが、3日後に実施した実験では排尿間隔の短縮(25%)がみられたが、排尿閾値圧、最大排尿圧には変化が認められなかった。カプサイシンの濃度を10倍にしたところ、同日では排尿間隔が30%短縮、排尿閾値圧が10%低下、最大排尿圧が40%低下した。3日後では排尿間隔が20%短縮したが、排尿閾値圧と最大排尿圧に変化を認められなかった。プロスタグランジンE2 10-5Mでは同日も3日後も排尿間隔が14%と20%短縮したが、排尿閾値圧と最大排尿圧に変化を認められなかった。以上の検討より、子宮への炎症は膀胱は排尿機構に影響を及ぼし、排尿反射を増大させ、いわゆる頻尿を起こしうる可能性を示し、その影響は急性期より子宮の炎症が終了してからも頻尿状態を呈し過活動膀胱のなることがあきらかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膀胱の活動状況を子宮の炎症性刺激が影響することがあきらかとなった。これは、骨盤臓器の状況が排尿という指標で評価できるきっかけとなる。子宮の状態を刺激直後と3日後とで検討したことにより、急性期における変化と刺激終了後におこる可塑性とを比較検討できた。その結果、排尿間隔は急性期よりこの後におこる変化が強く影響を及ぼしていると考えられた。この後の検討では3日後に引き続いておきる可塑性が、交感神経のどの機構で起こるのかを検討する。
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今後の研究の推進方策 |
直腸へのバルーン刺激(20cmH2Oと60cmH2O)を急性期と3日後で実施し排尿間隔、排尿閾値圧と最大排尿圧の変化を検討する。子宮への刺激による排尿反射時間短縮について3日後だけでなくより長期の検討を実施する。また3日後の変化に関して交感神経幹の切除や下腹神経切除を実施し検討する。下腹神経からの神経放電を記録する為、ラットだけでなく猫を用いて放電頻度の違い、子宮刺激や直腸刺激による放電発火の違いを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物をH25年度はネコも使用することになり、その準備等のため予定したラットに匹数や薬品量が当初の計画より下回ったため次年度に研究費を繰り越した。 H25年度は実験動物としてラットの購入とネコの購入、その他試薬・麻酔薬(セボフルレン)、消耗品費に充てる予定です。
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