研究課題/領域番号 |
24590723
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山浦 克典 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10543069)
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キーワード | H4受容体アンタゴニスト (H4RA) / ステロイド長期塗布誘発掻痒 / プロスタグランジンD2 (PGD2) / サブスタンスP (SP) / ヒスタミン / 一酸化窒素 (NO) / dexamethasone |
研究概要 |
H4Rの急性掻痒、慢性掻痒および長期外用ステロイド剤の反復塗布に起因する掻痒症に対するH4Rアンタゴニスト (H4RA)の作用点の解明を目的とし、H25年度は以下の研究成果を得た。 1.サブスタンスP (SP)誘発急性掻痒モデルに対するH4RAの抑制機序の解明を目指し、H4RA (JNJ7777120)の皮内投与の検討より、H4RAの作用点が皮膚局所にあることが示唆された。更に、ヒト不死化ケラチノサイト株HaCaT細胞を用いた検討から、SP掻痒に対するJNJ7777120の作用点はケラチノサイトのNO産生抑制以外にある可能性が考えられた。SP掻痒マウスの起痒部位におけるマイクロダイアリシス法を用いた検討により、SP掻痒においてNOの関与の可能性は低いと考えられた。 2.ステロイド掻痒モデルの皮膚病変部におけるヒスタミン受容体mRNA発現量を検討し、正常マウスに比べ皮膚炎マウスの病変部位では他のヒスタミン受容体と異なりH4RmRNA 発現が有意に亢進している知見を得た。更に、dexamethasone塗布によりH1RおよびH2R mRNAは有意に減少したが、H4R mRNAは減少しなかった。これより、dexamethasoneを長期塗布した皮膚においては、相対的にH4R数が増加している可能性が考えられた。 そこで、掻痒増悪におけるケラチノサイト由来NO産生とH4Rの関与を明らかにすることを目的に、HaCaT細胞培養系を用い検討した。IFN-γ刺激したHaCaT細胞はdexamethasone添加によりNO産生の亢進を示した。この時、iNOS mRNAおよびH4R mRNA発現はいずれも亢進していた。更に、NO産生はJNJ7777120添加により有意に低下したことから、H4RがケラチノサイトのNO産生において、重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.SP誘発急性掻痒モデルに対するH4RAの抑制機序の解明を目指し、本年度はJNJ7777120をSPと共に皮内投与し、掻破回数が有意に減少する事を明らかにした。これよりJNJ7777120の作用点が皮膚にあることが示唆された。SPの掻痒惹起機序の一つとしてケラチノサイトのNO産生亢進が報告されている為、ヒト不死化ケラチノサイト株HaCaT細胞のSP刺激に対するNO産生について検討した。その結果、SP刺激でHaCaT細胞のNO産生は誘導されないことから、SP掻痒におけるNOの関与は小さく、JNJ7777120の作用点はNO産生抑制以外にある可能性が考えられた。更に、SP刺激に伴うNO産生をin vivo系で検討すべく、マイクロダイアリシス法により、SP皮内処置後のNO産生量を測定したところ、処置前後でNO産生量に変化が見られず、SP掻痒におけるNO関与の可能性は低いと考えられた。 2.ステロイド誘発掻痒における検討を実施し、正常マウスに比べ皮膚炎マウスの病変部位ではH4R mRNA 発現が有意に亢進してる事を見出した。更に、dexamethasone塗布によりH1RおよびH2R mRNAが有意に減少したのに対し、H4R mRNAは減少しなかったことから、dexamethasoneを長期塗布した皮膚においては、相対的にH4R数が亢進している可能性が示唆された。そこで掻痒増悪におけるケラチノサイト由来NO産生とH4Rの役割を明らかにする為、HaCaT細胞を用い詳細を検討した。IFN-γ刺激したHaCaT細胞はdexamethasone添加によりNO産生の亢進を示し、同時にiNOS mRNAおよびH4R mRNA発現いずれも亢進していた。一方、JNJ7777120はNO産生を有意に抑制したことから、ケラチノサイトのNO産生においてH4Rが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
1.SP誘発急性掻痒モデルの掻痒反応に対するH4RAの抑制機序の解明を目指し、ケラチノサイトに着目した検討を行う。ケラチノサイトとしてはHaCaT細胞に加え、正常ヒト表皮細胞(NHEK)を用い各種条件下で刺激し、サイトカイン産生に対するH1およびH4Rの関与について検討する。 2.ステロイド掻痒モデルにみられる、掻痒増悪におけるH4Rの関与について検討する為、H4RA(JNJ39758979またはJNJ28307474)の掻痒反応に対するin vivoでの作用を検討する。また、ステロイド掻痒モデルの掻痒誘発機序については、マスト細胞由来掻痒抑制因子であるPGD2の産生量がステロイド塗布により低下し、掻痒反応の抑制性制御が解除されるために掻痒反応が亢進する可能性が示唆されている。そこで、ステロイド塗布によるPGD2産生量低下に対するH4RAの作用についても検討する。さらに、新規薬物療法の提案をめざし、H4RA併用によるdexamethazoneの減量効果についても検討する。
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