研究課題/領域番号 |
24590724
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
横山 茂 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (00210633)
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研究分担者 |
吉川 弘明 金沢大学, 保健管理センター, 教授 (10272981)
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キーワード | 痛み / 神経損傷 / Gpnmb |
研究概要 |
1.膜糖タンパクGpnmb (Glycoprotein non-metastatic melanoma B) 特異的な抗体を用いて免疫染色を行い、前年度のデータを確認正した。常坐骨神経ではGpnmb免疫反応性はS100タンパク陽性細胞の一部に強く認められた。坐骨神経切断端では、Gpnmb免疫反応性がOX-42、ED1あるいはOX6陽性の細胞の一部に認められた。このGpnmb免疫反応性は坐骨神経切断後5-7日後に最高レベルに達し、約1か月の間に消褪していった。これらの観察から、Gpnmbは正常時はシュワン細胞に発現しているが、神経損傷・炎症に際して浸潤する 単球・マクロファージ系の細胞に高レベルで発現していることを示していることが示唆された。[Yokoyama, S. Soc. Neurosci. Abstr., 813.15. (2013)、論文投稿準備中]しかしながら、 S100タンパク、OX-42、ED1あるいはOX6のマーカーで必ずしも全てのGpnmb陽性細胞が標識できないこともあり、他の細胞(マーカー)についても注意深い検索が必要であると思われた。 2.前年度と同様、ラットGpnmbのcDNAを大腸菌用発現ベクターに組込み、これを大腸菌に導入して大量発現される融合タンパクの可溶化、精製条件を検討した。 3.カイコ-バキュロウイルス発現系を利用した組換えタンパク発現系を確立するために、発現ウイルスの前段階としてのプラスミドを構築した。これについては、現在も進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.ラットGpnmbのcDNAをを大腸菌に導入して発現誘導分子量の融合タンパクのを可溶化、精製するのに適当な界面活性剤を見つけられなかった。 2.カイコ-バキュロウイルス発現用のプラスミドの構築がうまく行かず、実験が中途になってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
1. Gpnmbタンパクの調製についてはカイコ-バキュロウイルス発現系を利用した組換えタンパク発現系に絞る。可溶化の条件を引き続き検討しGpnmbタンパクの調製をした上で、前年度の目標と同様に以下の実験を進める。 2.培養細胞における電気生理学的測定。ラットDRGニューロンの初代培養を行い、膜電位固定法により膜電位依存性Na+およびK+チャネル電流を記録する。これに得られた組換えGpnmbタンパクを加えることで電流が増大するか抑制されるか調べる。同様の実験をラットDRGニューロン、上頸神経節ニューロン、神経系培養細胞株(NG108-15、PC12)およびで膜電位依存性Na+およびK+チャネルの遺伝子導入安定発現細胞株についても行う。上記で得られた培養細胞を固定した後、免疫染色を行い、膜電位依存性Na+チャネル、膜電位依存性K+チャネルの発現の変化を観察する。 3.個体レベルでの疼痛の評価。ラット足底部に組換えGpnmbタンパクを注射する。あるいは腰部脊髄後根神経節を露出し、ハミルトンシリンジにて組換えGpnmbタンパクを注入する。このラットを灌流固定の後、同側および対側の第4, 5腰椎後根神経節、坐骨神経を取り出し免疫染色を行う。足底の熱刺激による足引っ込め行動の閾値、潜時を測定し効果を判定する。同様に、足底の圧刺激による痛みの閾値、潜時を測定し効果を判定する。 4. 坐骨神経切断、脊髄神経結紮、脊髄圧迫損傷の各モデルで同様の実験を繰り返す。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験の若干の遅れによる。 以下の使途に充てる予定である。 ① カイコ-バキュロウイルス発現系に必要な消耗品 ② 実験用ラットの購入と飼育費 ③ 圧刺激鎮痛効果測定装置の購入 ④ 学会出張費用
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