研究課題/領域番号 |
24590726
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
室田 浩之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90363499)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 痒みの発生・増強機序 |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎において痒みは主要な症状の1つとして知られる。既存の痒み治療に抵抗性を示す症例は多く、難治化メカニズムの解明と対策方法の立案が患者しいては社会に貢献できるものと期待される。本研究ではアトピー性皮膚炎の痒み誘起因子が「温熱」であることに着目し、アトピー性皮膚炎の新しい治療戦略確立を目的とする。 1)神経栄養因子と温痛覚過敏の関係:神経栄養因子アーテミン、あるいはその誘導因子であるサブスタンスPが熱痛覚過敏に与える影響を熱刺激鎮痛効果測定機にて確認した。サブスタンスPを足底に投与したマウスでは投与12時間後には温度痛覚過敏が生じている事を確認した。この現象は神経栄養因子アーテミンの中和抗体によってキャンセルされた。アーテミンをマウス足底に投与した場合にも同様の温度痛覚過敏を生じた。アーテミンは温痛覚過敏に関与すると考えられた。 2)脊髄後根神経節細胞におけるTRPV1の発現:末梢での温度痛覚過敏は温度受容体であるTRPV1の影響を受けた結果ではないかと推察した。そこで初代培養の脊髄後根神経節細胞をアーテミンで6時間刺激したのちのTRPV1の発現をreverse-transcriptase PCRによって確認し、TRPV1mRNAの発現が増強することをしていることを確認した 3)TRPV1とアロネシスの関係:アーテミンによる温度痛覚過敏がTRPV1の発現増強に伴うものかを確認するためにTRPV1のアンタゴニストであるcapsazepine (CPZ)がHargreaves testとTail Flick testの結果に与える影響を検討した。その結果、CPZはアーテミンによる温度痛覚過敏を改善しなかった 以上よりアーテミンは温度痛覚過敏を誘導することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定した1,神経栄養因子アーテミンとアロディニアの関係、2,TRPsとアロディニアの関係、3,皮膚の状態とアロディニアに関する検討結果を得ることができた。ストレスとアロディニアの検討は進行中であり、予定された4項目中の3項目は結果を得たことから上記判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
1,ストレスと温度による痒み過敏の関係について、セロトニンを中心とした検討をin vivoで試みる。 2,熱痛覚過敏を誘導する刺激を行った動物を暖かい環境下に起き、痒みにつながる行動異常が生じないかを観察する。 3.温度刺激で誘発・増強される痒みの治療:暖かい恒温環境で痒みや異常行動が誘発された場合、下記の薬物介入を行い、その影響を検討する。 1) 既存の痒み治療薬:抗ヒスタミン薬、クロタミトン、GABA誘導体、ナルフラフィン塩酸塩等。2) TRPsアゴニスト、アンタゴニストンの影響を検討する。3) その他、検討時の先進的な報告などの情報を随時検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.物品:実験動物、抗体、人工蛋白質、試薬を中心とした物品購入を行う。2.PCRプライマーの外部受託合成を依頼する。3.英語論文の英文校正に用いる。4.旅費:成果を学会において発表し、意見交換を行うことで本研究の推進に役立てる。
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