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2014 年度 実績報告書

疼痛認知における性差のメカニズムに関与する下行性鎮痛系の可塑的変化とその役割

研究課題

研究課題/領域番号 24590727
研究機関長崎大学

研究代表者

戸田 一雄  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80134708)

研究分担者 木本 万里  日本女子大学, 家政学部, 准教授 (60101565)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード痛覚 / 情動 / 下行性鎮痛系 / 帯状回 / 性差 / ラット
研究実績の概要

本年度は主として帯状回の機能について解析した。慢性疼痛下の情動系の反応に関しては性差が顕著であることも示されている。しかし、その成因メカニズムについては不明の点が多く残されている。痛みは他の感覚にくらべてきわめて特異な感覚であり、その最終的な認知までには多くの変調系が関与している。性差の原因にはこのような変調系も含めた複雑な要素が関与している可能性が高い。特に注目される変調系としては、抑制系としての内因性鎮痛系であり、その中でも下行性鎮痛系が最も強力とされている。特に、帯状回から中脳中心灰白質に対して下行性の鎮痛路が存在すること, 中脳から大縫線核に対して2相性の出力があること, 脳幹の外側網様体から脊髄後角に直接的に抑制性の情報が下行していることなどが明らかになっている。すなわち、下行性の鎮痛路の主要経路は帯状回を起始とすることが示唆され、その制御のもとに中脳中心灰白質ー大縫線核ー脊髄系が賦活されることが提唱されている。当該年度は、特にメスラットを用いて、性周期に連動した疼痛閾値、および帯状回の侵害応答の変化を解析した。新たな知見としては以下の結果が得られた。1)メスラットにおいて帯状回の応答は発情前期から発情期にかけて亢進した、2)オスラットにおいてはメスと同様の時系列で記録した帯状回の応答に変化は見られなかった、3)身体の部位によって、侵害応答の特異性が見られ、特に尾部を刺激した場合の応答が大きかった。従来の研究で、帯状回は下行性鎮痛系の起始部位のひとつであり、ここから中脳水道周囲灰白質ー大縫線核を経由して脊髄に至る鎮痛路が明らかにされている。今回の結果から、メスでは性周期で帯状回における応答に変化が見られることから、下行性鎮痛系の作動様式にも可塑的変化が見られることが示唆される。オスでは、下行性鎮痛系に時系列的な変化は見られないことも明らかになった。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Sex Differences in Ileal Somatostatin-Response after Stress Conditioning in Rats2015

    • 著者名/発表者名
      Mari Kimoto, Jorge L. Zeredo, Masato S. Ota, Zenro Nihei, Kazuo Toda
    • 雑誌名

      Journal of Food and Nutrition Sciences

      巻: 3(3-1) ページ: 1-4

    • DOI

      10.11648/j.jfns.s.2015030301.11

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Ginger-induced Ileal Motility is Modified by Stress: Sex Differences in Rats2015

    • 著者名/発表者名
      Mari Kimoto, Jorge L. Zeredo, Masato S. Ota, Zenro Nihei, Kazuo Toda
    • 雑誌名

      Journal of Food and Nutrition Sciences

      巻: 3(3-1) ページ: 5-8

    • DOI

      10.11648/j.jfns.s.2015030301.12

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Neuronal Activity in the Subthalamic Cerebrovasodilator Area under Partial-Gravity Conditions in Rats.2014

    • 著者名/発表者名
      Zeredo ZL, Toda K, Kumei Y
    • 雑誌名

      Life(Basel)

      巻: 4 ページ: 107-116

    • DOI

      10.3390/life4010107

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Suppressive effects of D-glucosamine on the 5-HT sensitive nociceptive units in the rat tooth pulpal nerve2014

    • 著者名/発表者名
      Kaida K, Yamashita H, Toda K, Hayashi Y
    • 雑誌名

      Biomed Res Int

      巻: 187989 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1155/2014/187989

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Role of Anterior Cingulate Cortex in Descending Antinociceptive Effects Produced by Acupuncture Stimulation2015

    • 著者名/発表者名
      Kazuo Toda
    • 学会等名
      日本生理学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-23
    • 招待講演
  • [学会発表] Anterior cingulate responses evoked by mechanical nociceptive stimulation in female rats2014

    • 著者名/発表者名
      Hiromi Yamashita, J. L. Zeredo, Z. Nihei, K. Kaida, M. Kimoto, M. Umeda, I. Asahina, K. Toda
    • 学会等名
      FEPS 2014(欧州生理学会)
    • 発表場所
      セーメルワイズ大学(ブダペスト、ハンガリー)
    • 年月日
      2014-08-27 – 2014-08-30
  • [学会発表] Stress-induced modulation of ileal motility in Capsici fructus-fed female rats2014

    • 著者名/発表者名
      Mari Kimoto, J. L. Zeredo, Z. Nihei, M. S Ota, H. Yamashita, K. Kaida, K. Toda,
    • 学会等名
      FEPS 2014(欧州生理学会)
    • 発表場所
      セーメルワイズ大学(ブダペスト、ハンガリー)
    • 年月日
      2014-08-27 – 2014-08-30
  • [学会発表] Acupuncture modifies neuronal activities in the nucleus reticularis lateralis in rats2014

    • 著者名/発表者名
      Kazuo Toda, J.L. Zeredo, K. Moritaka, H. Yamashita, K. Kaida, M.S. Ota, M.Kimoto
    • 学会等名
      FEPS 2014(欧州生理学会)
    • 発表場所
      セーメルワイズ大学(ブダペスト、ハンガリー)
    • 年月日
      2014-08-27 – 2014-08-30
  • [図書] 新版 基礎解剖生理学2015

    • 著者名/発表者名
      戸田一雄、木本万里
    • 総ページ数
      450
    • 出版者
      おうふう

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公開日: 2016-06-01  

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