研究実績の概要 |
【研究目的】近年,神経障害痛の新しい治療法として間欠的高周波照射(pulsed radiofrequency:PRF)が用いられるようになった.しかし,PRFの作用メカニズムについて十分に研究されていない.研究代表者らは,Transient receptor potential vanilloid-1受容体の強力なアゴニストであるレシニフェラトキシン(RTX)を用いてラットの神経障害痛モデルを作成し,機械的アロディニアに対するPRFの有効性を明らかにした.この神経障害痛モデルラットを用いて,PRFの後根神経節(DRG)ニューロンでの蛋白発現への影響を調べた. なお,最終年度では実験の個体数を増やしデータを蓄積したが,結果は昨年度と同様であった. 【研究成果】①ラットDRGニューロンを,RTXの終濃度が0nM(control群),100nM(PRF群)になるように調整し培養した.48時間後,control群に比べてPRF群でSP,CGRP,BDNFの発現量が減少した.PRF群のDRGニューロンに培地内でPRFを360秒間照射すると,5日後に各蛋白の発現量は増加した.②ラットの腹腔内にRTX (200 μg/kg) を投与すると,1週間後にDRGニューロン(L4およびL5)のCGRP,BDNFの発現量が減少した.その後,右後肢坐骨神経近傍にPRFを360秒間照射すると,4週間後にCGRP,BDNFの発現量は増加した.PRFはDRGニューロンの蛋白発現に影響を与えることが示唆される結果を得られた. 【研究成果の意義】神経障害痛に対するPRFの作用メカニズムの1つとして,PRFがDRGニューロンでの神経伝達物質や神経栄養因子の発現レベルに影響を与えていることが示唆された. 今回の研究成果によりPRFの作用メカニズムの一部が解明されたと思われる.
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