研究課題/領域番号 |
24590732
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鳥海 春樹 慶應義塾大学, 医学部, 講師(非常勤) (30528203)
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研究分担者 |
畝川 美悠紀 慶應義塾大学, 医学部, その他 (10548481)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大脳皮質拡延性抑制 / CSD / PID / 頭痛 / 片頭痛 / 鍼灸 / Acupuncture / Moxibustion |
研究概要 |
当該年度において、本研究は以下の成果を上げた。 1.申請者らは、片頭痛の病態に関与するCortical Spreading Depression (CSD;皮質拡延性抑制)の発生とそれを惹起するTriggerの検討において、健常雌マウスに於いては、IV期に分類した性周期の各Phaseで、CSD発生閾値が異なる可能性を見出した(4th Asian Regional Conference for Headache, 2013, Taipei)。これは、研究の目的に挙げたとおり、末梢性と中枢性の感作が複雑に絡み合った片頭痛の病態を明らかにしていく為の重要な一歩となる。末梢からの知覚入力が、大脳皮質の興奮性と脳硬膜神経のSensitization(感作)を引き起こしているかを明らかにすることこそ、本研究の重要な目的であるが、CSD発生閾値を指標とする限り、大脳皮質の興奮性には性ホルモンの血中濃度が非常に重要であることを示唆するもので、今後の研究を発展させる上で非常に有用な成果と言える。 併せて、所属研究機関において確立されているin vivo蛍光顕微鏡システムを使用し、カプサイシン刺激に対する三叉神経系の活性化の指標と合わせ、硬膜血管周辺の知覚神経の反応性を視覚的に検出できる実験系を構築した。これにより、次年度以降の実験遂行の幅を広げ、成果の活用に大きな汎用性を持たせる事が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、初年度は実験系の確立が主体となっていたが、当該年度はこれに加えて、実際に動物の血中性ホルモン濃度が大脳皮質の活動性に影響を与えている現象について、本研究の実験系に載せた形で、CSD発生閾値の変化として検出することが出来た。これにより、本研究の重要テーマである頭痛病態の検討に、非常に強力な独自の実験系を立ち上げることが可能となっている。以上より、当該年度の達成度は上記区分に値すると自負するものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後、当該年度に確立された実験系を用い、三叉神経系の活性化と、大脳皮質の活動性の相関研究を、CSDの発生閾値および血中の性ホルモン濃度の変化などを指標に、免疫組織学的検討および分子生物学的検討を合わせて、in vivo解析系を主体に検討を進める。特に片頭痛の病態解明と将来的な治療法の構築への志向性を前面に押し出し、研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた電気生理学的なシステムの購入を取りやめたため、24年度の研究費に未使用額が生じたが、25年度に行動解析に重点を置いたシステムを購入し、大脳皮質の活動性と三叉神経系の活動性の相関関係をつなぐ重要な経路である情動について、研究を進める。これは、24年度の成果である「性周期に相関した大脳皮質の活動性」をより効果的に活かした研究とするために、当初予定していた電気生理学的な検討を、行動解析に重点を置いた検討に変更したための措置である。これにより、申請時の研究計画を損なわないばかりか、さらに幅広く実際の疾病研究に即した研究成果を、期間内に挙げることが可能となる。
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