研究課題/領域番号 |
24590734
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
前田 武彦 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50271010)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 |
研究概要 |
末梢神経損傷モデルを用いて、常在する脂肪細胞と損傷により集積する免疫細胞の相互作用が疼痛形成に重要であることを提唱してきた。本年度の目的は、『炎症性メディエーターのパラクラインにより、脂肪細胞と免疫細胞との間の細胞間クロストークを生じ、次いで脂肪組織のリモデリングにより、疼痛が遷延する』可能性を検証することである。具体的には、坐骨神経部分結紮(PSL)による神経障害性疼痛モデルを用いて、坐骨神経組織における免疫細胞と脂肪細胞のRT-PCRによるmRNA発現解析を行った。その結果、PSL後3から4週目において、脂肪細胞の成熟型への分化ならびに肥大化のマーカー分子の発現増加がみとめられた。坐骨神経組織全載標本のBODIPY染色により、神経上膜に分布する脂肪細胞の肥大化がみとめられた。一方、免疫細胞について検討したところ、炎症型マクロファージ(M1)のマーカー分子ならびに、選択的活性化型マクロファージ(M2)のマーカー分子の発現増加がともにみとめられた。免疫組織学的染色によりM1型マクロファージとM2型マクロファージの細胞数の増加がみとめられた。これら脂肪細胞とマクロファージの表現型の変化は、触アロディニアおよび熱痛覚過敏の発生と時間的に一致していることから、本研究結果は免疫細胞と脂肪細胞のクロストークが疼痛形成に関与する可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は脂肪組織リモデリングの分子機構を解析する予定であったが、遺伝子発現解析に止まり、阻害実験による機能解析にまでは至らなかった。しかし、当初よりも広範囲で網羅的なmRNA発現解析の結果を得たことは、今後の機能解析実験の遂行において、機能阻害の標的分子の決定を容易にすることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
TRPチャネルを治療標的とする薬物の神経障害性疼痛に対する効果を検討し、本年度明らかにした脂肪細胞とマクロファージの表現型に及ぼす影響を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
脂肪組織リモデリングの分子機構解明において、遺伝子発現解析遂行中に当初よりもより広い範囲の解析を行ったため、時間を要し、機能解析実験に至ることができなかった。そのため、機能解析実験における培養実験消耗品等の購入に至らなかった。当該解析については、次年度行う予定である。
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