研究課題/領域番号 |
24590734
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
前田 武彦 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50271010)
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キーワード | TRPV1 |
研究概要 |
TRPチャネル活性調節が疼痛に及ぼす影響とその機序について、神経障害性疼痛の病態基盤となる細胞間クロストークの観点から、その機序の解明を目的とする。個体を用いる実験に加えて、脂肪細胞と免疫細胞の共培養によるTRPチャネル活性化以降の下流シグナルの解析も行った。 1)TRPファミリー発現変化の検索と機能解析 坐骨神経部分結紮による疼痛モデルについて、TRPファミリー分子mRNA発現を解析した。その結果TRPV1の発現上昇がみとめられた。TRPV1のノックアウトマウスを使用して、TRPV1分子の疼痛形成における機能的重要性を検討した結果、触アロディニアについては、野生型との間で差はみられなかった。免疫組織化学的染色を行い、免疫細胞ならびに脂肪細胞を中心にTRPV1発現分布を調べた。その結果、疼痛の形成および制御において重要なマクロファージおよび脂肪細胞におけるTRPV1の発現が明らかになった。本結果を基に、TRPV1アゴニストであるカプサイシンを投与して、疼痛に対する影響を検討した。その結果、触アロディニアの減弱効果が認められた。 2)細胞間クロストーク制御機構の解析 前年度に同定したクロストークを担うメディエータの発現変化に及ぼす、TRPV1アゴニストであるカプサイシンの影響について検討した。継代細胞であるJ774A(マクロファージ細胞株)および3T3-L1(脂肪細胞株)の共培養によるメディエーター分子(TNF-α、MCP-1)のmRNA発現レベルの増加がみとめられた。これに及ぼすカプサイシン適用の影響を検討した結果、発現上昇の抑制がみとめられた。これにより、TRPV1刺激はマクロファージと脂肪細胞の細胞間クロストークを制御することにより、疼痛を減弱する分子機構が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、疼痛制御に関わるTRPチャネルファミリーを同定すること、それを介する細胞間クロストークを明らかにすることが目標であった。研究の結果、目標に到達することが概ねできた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の培養実験の結果を踏まえ、個体レベルでTRPV1発現細胞の機能的役割を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初よりも実験の遅れを若干生じており、そのため動物使用数が予定数を下回ったことが原因である。 本年度の未達の計画と次年度計画を合わせた行動実験を行うために、次年度使用予定数に本年度未達の実験計画で使用数を加えた分を用いて、次年度修正計画とし、その費用に次年度使用額を充てる予定である。
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