慢性疼痛は数カ月を超えて持続する痛みであり、通常の鎮痛剤があまり効果的でないため、治療法開発にあたりその発症メカニズムの解明が強く望まれている。これまでの研究によって、慢性疼痛の発症には中枢神経の変化が関与すると考えられており、大脳皮質一次体性感覚野(S1)のニューロンの活動が過剰になることがその原因の一つとなっている可能性が示唆されている。本研究では、慢性疼痛時のS1の機能変化、特に抑制性伝達物質GABAの機能について検討を行い、細胞内クロライドイオン濃度が上昇することにより、GABA機能が低下して慢性疼痛が発生する可能性が示唆された。
|