研究課題
化学物質は多くの有用性を持ち、われわれの生活レベルの向上に貢献している。一方、取扱いを誤ると、その有害性から野生生物やヒトに悪影響を与える可能性がある。これまで化学物質の毒性評価には主に生きた動物(実験動物)が使用されてきた。近年、動物愛護の観点から提唱されている3R(reduction, refinement, replacement)コンセプトにより、生きた動物を使用しない化学物質の毒性評価法が求められている。生きた動物を使用しない化学物質の毒性評価手法を確立することを目的として、培養細胞(in vitro)を用いたトランスクリプトーム解析の結果を生体(in vivo)における毒性評価に結びつけるツールを開発することを目的として、本申請研究を行った。本研究では、われわれが構築したin house アレイシステムを用いて、培養細胞(vitro)における遺伝子発現の変動情報を、バイオインフォマティクスの技法を駆使して、vivoにおける生体への影響評価につなげる手法を開発することを目的とした。平成26年度は前年度までに引き続き、代表的な環境化学物質を培養細胞またはマウスに投与し、肝臓における発現変動遺伝子をマイクロアレイを用いて解析した。その結果、vitroとvivoを比較検討すると、発現が変動する遺伝子は共通なものがある一方、化学物質固有に変動するものがあることが明らかとなった。さらにIngenuiy Pathways Analysis(IPA)を用いて解析したところ、vitroとvivoでは影響を受ける生体応答ネットワークが共通するものがある一方、異なるネットワークが存在することが明らかとなった。本研究により、培養細胞を用いたトランスクリプトーム解析の結果を、当該化学物質の生体での影響評価に結びつけるツールを構築するうえでの基礎的なデータを取得することができた。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Scand J Gastroenterol.
巻: 49 ページ: 1035-1043
10.3109/00365521.2014.926984
BMJ Open
巻: 4 ページ: e004863
10.1136/bmjopen-2014-004863
Chem Biol Interact.
巻: 215 ページ: 46-53
http://dx.doi.org/10.1016/j.cbi.2014.03.005
Eur J Pharmacol.
巻: 723 ページ: 99-107