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2013 年度 実施状況報告書

手指消毒薬の成分がアトピー性皮膚炎に及ぼす影響とその作用機序に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24590753
研究機関大分県立看護科学大学

研究代表者

定金 香里  大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (20322381)

キーワードアトピー性皮膚炎 / 手指消毒薬 / 塩化ベンゼトニウム / 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン / アクリノール / 動物実験 / NC/Nga系マウス
研究概要

昨年度、アトピー性皮膚炎に対する手指消毒薬有効成分塗布の影響を、モデルマウスを用いて検討した結果、塩化ベンザルコニウムは強くアトピー性皮膚炎を増悪したのに対し、グルコン酸クロルヘキシジンは増悪を示さないことが明らかとなった。また、ポビドンヨード、エタノールもアトピー性皮膚炎を増悪する傾向があることがわかった。本年度は引き続き、塩化ベンゼトニウム(BZTC)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン(AEG)、アクリノール(Ac)についてアトピー性皮膚炎への影響を検討した。
アトピー素因を有するNC/Nga系マウスの耳介皮下にダニ抗原を頻回投与し、アトピー性皮膚炎を誘発した。誘発期間中、0.2%(w/v) BZTC、0.1%(w/v) AEG、0.1%(v/v) Ac(一般的に使用されている濃度)を1~2日ごとに計15回、炎症誘発部位にそれぞれ塗布した。
その結果、BZTCを塗布した群では、アトピー性皮膚炎様症状の有意な増悪を認めた。一方、AEG、Acでは塗布による増悪を認めなかった。また、BZTCの塗布により、血清中総IgE抗体産生や炎症部位における好酸球浸潤が亢進する傾向がみられた。また、アトピー性皮膚炎惹起タンパクの一種、TSLPが有意に増加していた。さらに、促炎タンパクのIL-33やIL-1β、炎症細胞誘導因子MIP-1αも増加する傾向があった。一方、AEG、Acでは、いずれのアトピー性皮膚炎関連物質の増加も認めなかった。
以上の結果から、塩化ベンザルコニウムと同じ四級アンモニウム塩に属する塩化ベンゼトニウムにも、アトピー性皮膚炎増悪作用があることが明らかとなった。その作用機序として炎症性サイトカイン産生、IgE抗体産生の亢進、炎症細胞の活性化が関与していることが考えられた。一方、AEG、Acにはアトピー性皮膚炎増悪作用がないことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、予定していた3種類の手指消毒薬有効成分を対象に、アトピー性皮膚炎に及ぼす影響および作用機序に関する解析を終えたことから、研究はおおむね順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

これまでの研究成果から、手指消毒薬有効成分のうち、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム)には、アトピー性皮膚炎を強く増悪させる作用があることが判明した。また、ポビドンヨード、消毒用アルコールにもアトピー性皮膚炎を増悪させる傾向があることがわかった。一方、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、アクリノールは、増悪を示さなかった。増悪の程度には、炎症細胞の活性化や炎症性タンパクの産生が関わっていることが考えられた。医療現場や食品を扱う人々のみならず、最近では商業施設や家庭でも様々な種類の消毒薬を使用している。アトピー素因を有する人々の為に、安全な消毒薬有効成分、増悪の可能性が高い有効成分のデータを蓄積していくことが重要である。次年度は、医薬品ではないが、化粧品やハンドソープ等の殺菌成分として汎用されている3種類の成分(トリクロサン、クロロキシレノール、イソプロピルメチルフェノール)について、アトピー性皮膚炎への影響を検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 手指消毒薬有効成分がアトピー性皮膚炎に及ぼす影響とその作用機序2014

    • 著者名/発表者名
      定金香里、市瀬孝道
    • 学会等名
      第84回日本衛生学会学術総会
    • 発表場所
      岡山市
    • 年月日
      20140525-20140527
  • [備考] 大分県立看護科学大学生体反応学研究室ホームページ

    • URL

      http://www.oita-nhs.ac.jp/research/dhs/patho/styled/index.html

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公開日: 2015-05-28  

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