研究課題/領域番号 |
24590754
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
田村 豊 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (50382487)
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研究分担者 |
臼井 優 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (60639540)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 耐性菌 / 拡散 / ハエ / ネズミ / プラスミド |
研究概要 |
① 乳牛の畜舎環境から牛糞便93検体と牛舎内ハエ(イエバエ91検体、オオイエバエ68検体及びサシバエ72検体)を採材し大腸菌の分離を行った。その後、分離された大腸菌について微量液体希釈法による13薬剤の薬剤感受性試験を行った。その結果、牛糞便、イエバエ、オオイエバエでそれぞれ74、64、54株の大腸菌が分離され、いずれの由来株においてもテトラサイクリンに対する耐性菌出現率が最も高かった(36~50%)。サシバエからは大腸菌が分離されなかった。第3世代セファロスポリン系薬剤に対して耐性を示したのは、牛糞便、イエバエ、オオイエバエ由来株でそれぞれ6,20,8株であった。このうち、22株は6薬剤に耐性を示す多剤耐性株であった。これらの結果より、畜舎において牛およびハエが広く薬剤耐性菌を保有しており、ヒト医療で重要とされる第三世代セファロスポリン耐性菌も存在することが明らかとなった。 ② 全国21都道府県で捕獲されたクマネズミ195検体、ドブネズミ67検体、不明64検体の糞便、計326検体から大腸菌の分離を行い、分離された大腸菌について薬剤感受性試験を行った。34検体(10.4%)から大腸菌が分離された。薬剤感受性試験の結果、テトラサイクリン耐性株(12株)が最も多く認められた。また、バンコマイシン添加培地の使用により、バンコマイシン耐性腸球菌の分離を試みたがバンコマイシン耐性腸球菌は分離できなかった。これらの結果より、イエネズミから大腸菌を分離することが可能であり、比較的低い割合で薬剤耐性菌を保有していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネズミ及びハエからの分離について順調に推移している。試験計画に沿って、結果が出ているため。
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今後の研究の推進方策 |
ハエの試験に関しては、1農場におけるデータしか取れていないので、複数農場での調査を実施する。また、ハエ体内における試験は、計画通り行う予定である。 また、ネズミからの大腸菌の分離について、分離株数が少ないため、調査範囲を拡大して試験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査範囲を拡大することに伴う消耗品等に使用する予定である。また、調査範囲の拡大と合わせて、一つずつの菌についてもより詳細な解析を行うことを予定しているため、詳細な解析に用いる試薬等を購入する予定である。
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