研究課題/領域番号 |
24590764
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
李 英姫 日本医科大学, 医学部, 講師 (60350039)
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研究分担者 |
川田 智之 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00224791)
吾妻 安良太 日本医科大学, 医学部, 教授 (10184194)
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
平田 幸代 日本医科大学, 医学部, 助教 (40322515)
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キーワード | ディーゼル排気粒子 / EMT / 細胞遊走 / 酸化ストレス |
研究概要 |
平成25年度では、ヒト気道上皮細胞BET-1Aを用いて、ディーゼル排気粒子(DEP)(1-50μg/ml)曝露の気道上皮細胞における上皮間葉移行(EMT)への誘発作用、Wound closure assay 法による細胞遊走への影響について検討した。また、抗酸化物質N-acetylcysteine (NAC)前処理によるDEPの作用について検討した。 DEP曝露により、DEP濃度依存的に気道上皮細胞のE-cadherinの発現は減弱し、N-cadherin発現は増強する傾向が認められたが、E-cadherin, N-cadherin発現変化はNAC前投与により回復の傾向が認められた。DEP曝露により抗酸化酵素oxygenase(HO)-1, NAD(P)H:quinone oxidoreductase1 (NQO1)mRNA発現は有意に増多した。DEPは酸化ストレス作用により、EMTを誘発し、気道上皮細胞の遊走を抑制することが認められた。 気道上皮細胞の遊走は炎症後の修復過程において重要であり、EMTは気管支喘息,肺線維症など肺疾患のリモデリング病態にかかわる重要なプロセスである。DEPの曝露は気道疾患におけるリモデリング病態を増悪させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Nrf2-/-マウスより肺胞上皮細胞の分離に必要な条件はNrf2+/+マウスと異なっており、さらなる模索が必要であると考えられた。当初計画通りの本研究の目的を達成するために、平成25年度ではヒト気道上皮細胞BET-1Aを用いて研究実績の概要に記載した通りに研究を進めた。気道上皮細胞を用いて、研究目的のEMTプロセス、細胞遊走におけるDEPの作用と分子メカニズムについて確認しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では、気道上皮細胞を用いて、BLM、BLM plus DEP作用についてin vitroにて検討し、Nrf2の分子メカニズムを解明するためにNrf2SiRNA法にて検討する予定である。また、肺線維芽細胞を用いてDEPによる細胞遊走能への影響について検討し、BLM肺線維症病態におけるEMTプロセス、細胞遊走へのDEPの作用メカニズムについて確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は順調に進んでいるが、納期が遅れることにより繰り越しが生じた。 平成26年度の消耗品にあてる。
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