研究課題
平成26年度では、ヒト気道上皮細胞BET-1Aを用いて、ディーゼル排気粒子(DEP)曝露の気道上皮細胞におけるWound closure assay 法による細胞遊走への影響について検討した。また、抗酸化物質N-acetylcysteine (NAC)前処理によるDEPの作用について検討した。DEP (25μg/ml)曝露により、気道上皮細胞の遊走能はコントロール群と比較し有意に増強したが、その変化はNAC前投与により有意に減少した。平成25年度研究におけるDEP (25μg/ml)曝露の酸化ストレス作用により、上皮間葉移行(EMT)が誘発されることから、EMT細胞の遊走能が増強されたと考えられる。DEPの酸化ストレス作用の細胞遊走能への影響において、細胞内シグナル伝達経路を明らかにするため、気道上皮細胞の遊走におけるDEPの増強作用に対するRock阻害剤Y-27632、およびGiシグナル抑制剤Pertussis Toxin Solution (PT)の抑制効果について検討した。その結果、DEPの酸化ストレス作用は細胞内のGi, Rhoのシグナル伝達経路を介して細胞の遊走能へ影響する可能性が示唆された。気道上皮細胞の遊走は炎症後の修復過程において重要であり、EMT細胞の遊走能は肺線維症など気管支肺疾患のリモデリング病態にかかわる重要なプロセスである。DEP曝露による酸化ストレスは気道疾患におけるリモデリング病態を増悪させる可能性が示唆された。
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Prostaglandins Other Lipid Mediat
巻: 116-117 ページ: 1-9
10.1016/j.prostaglandins.2014.10.003.
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