研究概要 |
本年度は、昨年度測定を行った血清非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)濃度と、メタボリック症候群の診断を構成する各種生活習慣病との関連性について、横断的検討を行った。 上記測定を行った1168人から、女性や40才未満の者などを除いた769人を対象とした。その結果、血清ADMA濃度は年齢(r=0.14, p<0.001)、BMI(r=0.15, p<0.001)、拡張期血圧(r=0.12, p=0.001)、総コレステロール(r=0.07, p=0.042)、LDLコレステロール(r=0.09, p=0.013)、HDLコレステロール(r=-0.10, p=0.008)、中性脂肪(r=0.13, p<0.001)と有意な相関を認めた。また、高血圧、脂質異常症、喫煙習慣を有する者においてADMAは有意な高値を示した。 さらに、近年欧米において血清ADMA値が脳卒中のリスク因子となりうるとの報告がなされていることから、最近我が国で報告された脳卒中発症リスクスコア(Stroke 2013; 44: 1295-302)と血中ADMAとの関連性を検討した。その結果、脳卒中リスク分類が低、中、高と上昇につれADMA値は上昇し(p<0.001 for trend)。さらに、複数の交絡因子で調整した多重ロジスティック回帰分析では、ADMA4分位最高分位における脳卒中ハイリスクに対するオッズ比は2.47(p=0.049)と有意な高値を示した。 以上から、血清ADMA値はメタボリック症候群の診断を構成する各生活種運病と有意に関連し、さらに脳卒中発症リスクとも有意に関連する可能性が示唆された。本結果はJ Neurol Sci誌に公表を行った。
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