研究課題/領域番号 |
24590767
|
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
山本 正治 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (40018693)
|
研究分担者 |
遠藤 和男 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (60176790)
土屋 康雄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60334679)
|
キーワード | 胆嚢がん / ペルー / 遺伝要因 / 環境要因 / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、胆嚢がん多発国の南米ペルーおいて、本症発生に関わる環境および遺伝特性を環境、遺伝疫学的分析や癌及び癌抑制遺伝子変異解析によって明らかにし、その発生予防策を具体化することを目的としている。 平成25年度には、チリで胆嚢がん発症の環境要因とされた赤唐辛子中のアフラトキシンとオクラトキシンの汚染状況を調査し、ペルーにおける胆嚢がん発症との関連を調べた。 試料は、これまでペルーで最も高い胆嚢がん発症率を示した北部のTrujilloで6試料、首都のLimaで5試料、高地のCuscoで2試料の計13試料を各都市の中央市場で入手した。Trujilloでは乾燥した唐辛子は入手できずに、生鮮の唐辛子を購入した。LimaとCuscoでは乾燥唐辛子を購入した。購入した唐辛子は日本に持ち帰り、生鮮の唐辛子は凍結乾燥後に粉砕し、マイコトキシン検査協会でアフラトキシンB1、B2、G1、G2とオクラトキシンAの濃度を測定した。 その結果、Trujilloで入手した生鮮品はアフラトキシン、オクラトキシンの濃度が何れも検出限界以下であった。しかし、Limaで購入した1試料からアフラトキシンB1が1.5 μg/KgとオクラトキシンAが32.3 μg/Kgの濃度で検出された。また、他の2試料からは、オクラトキシンAが0.6 μg/Kg、2.8 μg/Kgの濃度で検出された。一方、Cuscoで購入した2試料中からは、アフラトキシンB1が0.9 μg/KgとオクラトキシンAが11.5 μg/Kg、アフラトキシンB1が1.6 μg/KgとオクラトキシンAが47.1 μg/Kgが各々検出された。 以上の結果から、ペルーにおける唐辛子中のアフラトキシンの濃度は低く、検出された試料数も多くなかったがオクラトキシンAはヨーロッパの基準値を上回った試料が2試料存在した。今後、オクラトキシンAと胆嚢がん発症との関連をさらに検討する必要があると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、平成25年度には胆嚢がん患者と胆石症患者から生活習慣、食習慣などに関するアンケートの回収や遺伝子解析のための血液試料を採取し、解析する予定であった。しかし、平成25年度に入り、ペルーの研究協力者であるDr. Piscoyaから、健康上の理由で共同研究を継続することが不可能となったとの連絡が入り、現在、新たな研究者を探している。 本年度中には新たな研究者を確保し、研究を再スタートしたいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度中に新たなペルーの研究者を見つけ、研究打ち合わせ後、アンケートと試料採取を開始したいと考えている。このため、現在、ペルー国内外の研究者と連絡を取り共同研究実施の可能性について打診しているところである。 平成27年度中に目標とした患者数を確保し、統計解析や遺伝子解析を実施したいと考えているが、患者の確保が困難であった場合には、研究期間を1年延長し、さらに患者の確保に努め、研究の初期の目的を達成したいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ペルー研究者が健康上の理由で共同研究遂行を辞退したため、アンケートや血液試料の採取が不可能となった。このため、主に遺伝子解析のための費用が未使用として次年度にまわった。 今年度中に新たなペルー研究者を確保し、研究打ち合わせを行った後、アンケートの回収と血液試料の採取を行う。 アンケートの回収や患者からの血液試料採取は、現地の研究者の協力なくしては不可能であることから、できるだけ早期にペルー研究者の合意が得られるように努めたい。前年度未使用であった助成金は、得られた試料からのDNA抽出、および遺伝子解析のための費用として使用する予定である。
|