ナノ材料の生体影響はそのサイズに依存していると考えられていることから、2種類のサイズの銀ナノ粒子を用いてラット自発運動量への影響を検討した。 2種類の銀ナノ粒子のサイズを光散乱法を用いて測定した結果、10nmと20~30nmのところにピークを持つことが明らかになった。 銀ナノ粒子を分散溶液中で分散した状態で生後5日の雄性ラット新生仔に経口投与した(30μg/pup)。対照ラットには分散溶液のみを投与した。6週齢より自発運動量(Supermexシステム)の測定を開始した。本システムではラットをとらえるセンサーが付属してあり、ラットの異所行動、身つくろい、立ち上がりなどを測定する。 その結果、生後5日に銀ナノ粒子(10nmあるいは20~30nm)を投与したラット群(5~7匹)の自発運動量は、対照ラットのそれに比較すると、それぞれ1.4倍、1.3倍有意に亢進することが明らかになった。 また、その分子レベルでの影響をDNAアレイ法で解析した。解析には各中脳を供した。その結果、シナプトタグミンや各種膜受容体やP450などの遺伝子発現が2倍以上増加していることが明らかになった。これらの遺伝子のこれまで報告されてきた機能から銀ナノ粒子の影響ネットワークを推定することは困難であった。
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