研究課題/領域番号 |
24590778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齊藤 麻理子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80404234)
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研究分担者 |
鈴木 陽 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20443989)
神垣 太郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80451524)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際研究者交流(フィリピン) / デング熱 / デングウイルス |
研究概要 |
デングは熱帯・亜熱帯の都市近郊部を中心に拡大している蚊媒介性の急性熱性疾患であり、年間5000万人が感染しているとされる。また近年の気候変動によるデング流行パターンの変化が指摘されており、注意深いモニタリングが必要な疾患である。しかし、デングは軽症例では医療機関を受診しない例も多く、臨床診断だけでは他の急性熱性疾患との鑑別が困難でもあり、正確な症例数を把握することは不可能である。 当初本研究はパラワン島において遂行する予定だったが、ルソン島中部のターラック州において行うこととした。ターラック州では毎年数千人ものデング疑い患者が報告され、近年ではチクングニヤ熱のアウトブレイクも起きている。そのため医療従事者のみならず地域住民のデング熱やチクングニヤ熱に対する関心が高く、研究協力が非常に得られやすい環境である。本研究では、まずターラック州の中心都市ターラック市における、より正確なデング熱の基礎データを収集する。さらにRT-PCRにてデングウイルスを検出し、そのE遺伝子の全長を解析することにより、ウイルスの血清型、遺伝子型の決定のみならず、さらに詳細なクレードの分類も行う。それにより、その地域におけるウイルスの伝播を追うことが可能となり、流行パターンを推測できると考える。さらに、将来的にサーベイランスをより効率的に行う手法として、非侵襲的な方法で収集できる検体としてこれまでに報告のある、尿、唾液を用いたウイルス検出方法について検証する。 平成24年度は研究対象地域をターラック市へ決定し、ターラック州立病院と数回にわたる協議を行った。また研究プロトコールをRITMの倫理委員会へ提出した。実験体制としては、新たにVero細胞を導入しこれまで行われていなかったRITMにおけるデングウイルス分離体制を整えた。さらに、デングウイルスE遺伝子の全長解析のためのSOPを確定させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初本研究はパラワンで行う予定であったが、同様の研究を行っている他のグループがいることが判明し、競合をさけるため研究サイトを変更することとなった。本研究ではその地域のデングウイルス感染症をより正確に把握するため、重症の入院例のみならず、軽症例である外来患者からも広く検体を広く集める必要がある。フィリピンでは外来にて採血を常時行うような外来施設が少ないため、外来における採血が容易に行え、かつ毎年デング熱の流行が報告され、あまり大きな都市ではない(ヒトの行き来が多すぎない)土地という条件に合ったプロジェクトサイトの決定に多くの時間を割いた。最終的に、上記の条件を備え、また以前別のプロジェクトを行っていてすでにある程度の協力関係が構築されているターラックをプロジェクトサイトに決定した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は大きく3つの目的で行うものとする。 1) ターラック市におけるデングウイルス感染症の実態を把握する。臨床的に明らかにデング熱とは判別しにくい症例(例えば発熱のみの症例)からも検体を収集し、実験室診断を行う。2)分離ウイルスについてはE遺伝子を増幅し、遺伝子型、クラスターを判別し、地域内におけるウイルスの伝播について時間的、空間的に解析する。3)サーベイランスとして有用な、非侵襲的な方法により採取できる検体(尿、唾液 等)のウイルス検出感度について検証する。 平成24年度は主に実験方法の整備、研究サイトの決定、研究計画の決定(倫理委員会の申請)を行ってきた。平成25年度は倫理委員会の審査の間、ひきつづき現地における体制を整える(ターラックにおけるプロジェクトスタッフの雇用開始、トレーニング、病院職員を対象としたワークショップ開催など)。また、実際に検体採集を開始する。検体が集まり次第、随時RITMにて解析を行ってゆく。平成25年度は主に(1)(3)を中心に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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