研究課題/領域番号 |
24590782
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
堀口 兵剛 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90254002)
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キーワード | メタロチオネイン / カドミウム / 遺伝子多型 / 米 / 農家 |
研究概要 |
メタロチオネイン(MT)はカドミウム(Cd)の曝露により肝臓や腎臓で産生される低分子蛋白質であり、Cdの毒性や種々のストレスに対して防御的な働きをしている。従って、MTの遺伝子型の違いにより個人間での産生量が異なり、Cdの毒性に対する感受性にも差が存在する可能性がある。 昨年度は秋田県内の土壌中Cd濃度の高い農村地域において米作を営み、Cd濃度の比較的高い自家産米を摂取してきたためにCd曝露を受けた40歳以上の農家753人のDNAについて、PCR-CTPP(Polymerase chain reaction with confronting two-pair primers)という解析方法を用いてMT2A遺伝子のSNP(single nucleotide polymorphism;一塩基多型)(rs28366003)を調べた。今年度は、その対照として同県内の鉱山の影響がないと考えられる農村地域において、同様に40歳以上の米作農家を対象に健康診断を実施し、28名の参加者が得られた。これらの農家の血中・尿中Cd濃度のレベルは極めて低く、対照集団としては最適であると考えられた。そして、得られた末梢血からDNAを抽出した。 昨年度調べた上記のSNPに加え、今年度はさらにMT1A遺伝子多型(rs8052394)とMT2A遺伝子多型(rs10636)の2種類のSNPを、タカラのサイクリングプローブとタックマンプローブを用いたPCRによる検出可能性を検討した。その結果、MT1A(rs8052394)はタックマンプローブにより検出可能であることが判明した。従って、次年度は全DNA検体について実際にSNPを調べるとともに他のSNPの検出可能性についても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNAの検体は、これまでのところCd曝露を受けた農家753人と対照としての農家28人から得られている。そして、過去の報告で体内Cd蓄積量との関連性が示唆されているMT2A遺伝子多型(rs28366003)についてはCd曝露を受けた農家753人において解析済みであり、その分布は性、年齢、血中・尿中Cd濃度との関連性は認められなかった。しかし、対照群の結果を加えて検討する必要性がある。また、新たに他のSNPと体内Cd蓄積量との関連性を検討するためにPCRのためのプローブを検討したところ、タックマンプローブによってMT1A(rs8052394)を検出することが可能であることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
対照地域での農家を対象とした健康診断をさらに実施し、対照群の数を増やす。それに加え、NCBIや JSNPなどのデータベースからさらに他のMTのSNPをいくつか選択し、調べるSNPの種類も増やす。そして、血中・尿中MT濃度についても保存してある検体を用いて測定する。その上で、全DNA検体について上記のSNPを調べ、その分布と血中・尿中Cd濃度や血中・尿中MT濃度との関連性を検討する。さらに、長期保存してあるイタイイタイ病患者のDNA検体についての同様にSNPを調べ、それらの関連性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は順調に進行し、助成金もそれに応じてほぼ予定とおり使用したが、期間内で研究が一段落したところで若干の助成金の残余が生じた。 昨年度までの研究を引き続き実施する予定であるため、それに必要な試薬等に使用する計画である。
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