研究課題/領域番号 |
24590783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
深作 貴子 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (10625338)
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研究分担者 |
戸村 成男 浦和大学, 社会福祉学部, 教授 (60100955)
柳 久子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10241811)
奥野 純子 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (50360342)
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 教授 (50163514)
大藏 倫博 筑波大学, 体育系, 准教授 (60396611)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者 / 介護予防 / 低栄養 / ビタミンD / 生活機能 / 身体機能 |
研究概要 |
近年、ビタミンD欠乏は全ての年齢層に認められ、世界共通の問題であると認識されている。特に高齢者で不足状態にある例が多く、低栄養や、皮膚でのプロビタミンD生成の減少、閉じこもりなどによる日光曝露の減少などから、骨粗鬆症の危険因子となり得るだけでなく、転倒・骨折、筋力の低下との関連が報告されている。本研究では、二次予防事業対象者(旧特定高齢者)による介護予防教室において、ビタミンDを食品摂取状況及び血液状況から把握し、生活機能、身体機能との関連、教室への介入効果を検証することを目的とした。 調査方法は、教室開始時・3ヵ月目に、質問紙調査、体力測定、採血を実施し、食品摂取状況は、東京都が開発した「食品摂取の多様性評価票」を用いて10品目の食品摂取の状況を把握した。全解析対象者216名の平均年齢は77.6±6.0(平均値±SD)歳、女性が約8割、後期高齢者が約7割を占めており、低栄養状態の基準値とされる血清アルブミン値が3.8g/dl以下者は約1割にみられた。食生活状況では、魚介類の摂取頻度と血中ビタミンD濃度(血清25(OH)D)との間に有意な正の相関を示した(p<0.01)。ビタミンDは魚介類に多く含まれるため、魚介類を毎日摂取る事で血中ビタミン濃度を高め、転倒・骨折予防につながる可能性のあることが示唆された。また、介護予防教室では、運動指導及び栄養指導で構成しており、教室後の食品摂取状況を評価した多様性得点(p<0.01)や、生活機能の総得点(p<0.01)、身体機能の下肢筋力を示すステップテスト(p<0.01)、5回椅子立ち上がり(p<0.01)、歩行能力を示す5m通常歩行(p<0.01)、Timed Up& Go(p<0.01)に有意な改善がみられた。それゆえ、運動と栄養指導の包括的支援が介護予防に寄与することが示唆された。現在、さらに対象者を増やし縦断的研究を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二次予防事業対象者(旧特定高齢者)を対象にした介護予防教室における調査を、「研究実施計画」通りにほぼ遂行できている。今年度は、(1)ビタミンDの食品摂取状況と生活機能、身体機能との関連を横断的に検証すること、(2)教室開始時及び教室終了時のビタミンDの食品摂取状況と生活機能、身体機能との関連を縦断的に検証すること、 (3)教室終了から1年後のビタミンDの食品摂取状況、生活機能、身体機能、活動意欲、QOL、介護度などを調査じ、ビタミンD摂取量の有無による生活機能、身体機能への影響を検証し、1年後に介護認定を受けた者(介護認定者群)とそうでない者(介護認定非該当群)との比較検討を行い、両群のビタミンDの食品摂取状況から生活機能や身体機能に及ぼした影響要因を検証すること、(4)介護予防教室への介入効果の検証も継続して行うことにあり、(1)(2)(4)については解析が進んでいるが、(3)の1年後の状況においては、今年度の対象者による1年後の調査を来年度に実施する予定でいるため、次年度以降に評価をし実施状況報告をしたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度のデータに基づき、今後も対象者を増やしビタミンDの食品摂取状況と生活機能、身体機能との関連を横断的、縦断的に検証する。さらに、教室終了から1年後のビタミンDの食品摂取状況、生活機能、身体機能、活動意欲、QOL、介護度などを調査し、ビタミンD摂取量の有無による生活機能、身体機能への影響を検証し、1年後に介護認定を受けた者(介護認定者群)とそうでない者(介護認定非該当群)との比較検討を行い、両群のビタミンDの食品摂取状況から生活機能や身体機能に及ぼした影響要因を検証したいと考える。また、介護予防教室への介入効果の検証も継続して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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