研究課題/領域番号 |
24590783
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
深作 貴子 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (10625338)
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研究分担者 |
戸村 成男 浦和大学, 社会福祉学部, 教授 (60100955)
柳 久子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10241811)
奥野 純子 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (50360342)
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 教授 (50163514)
大藏 倫博 筑波大学, 体育系, 准教授 (60396611)
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キーワード | 高齢者 / 介護予防 / 低栄養 / 生活機能 / 身体機能 |
研究概要 |
高齢者の多くは、低栄養や日照不足などにより、ビタミンDの栄養状態を示す血中ビタミンD濃度(以下25(OH)D)の不足で転倒しやすくなるとされ、骨折、筋力の低下との関連、最近では認知症との関連も報告されている。本研究では、二次予防事業対象者による介護予防教室において、ビタミンDを食品摂取状況及び血液状況から把握し、生活機能、身体機能との関連、教室への介入効果を検証することを目的としている。調査方法は、教室開始時・3ヵ月目に、質問紙調査、体力測定、採血を実施し、食品摂取状況は、東京都が開発した「食品摂取の多様性評価票」を用いて把握した。全解析対象者241名の平均年齢は77.7±6.3歳、女性が約8割%、後期高齢者が約7割であった。25(OH)Dは、男性に比べ女性が有意に低く(p<0.01)、認知機能との間に有意な正の相関を示した(p<0.01)。食生活状況では、多様性総得点と25(OH)Dとの間に関連はみられなかったが、魚介類の摂取頻度と25(OH)Dとの間に有意な正の相関を示した(p<0.05)。介護予防教室では、運動及び栄養指導で構成し、グループに分けた少人数指導を中心に行っているのが特徴である。その教室後の生活機能総得点(p<0.01)、認知機能(p<0.01)、身体機能も有意に改善した。食品摂取状況を評価した多様性得点では、男女共に有意に改善したが(p<0.01)、特に女性においては、魚の摂取頻度が有意に改善(p<0.01)するとともに、25(OH)Dも有意に改善した。ビタミンDは、魚介類に多く含まれるため、魚介類をより多く摂取る事で25(OH)Dを高めることが示唆された。特に女性は、閉経後に女性ホルモンの減少で骨粗鬆症のリスクが高まるため、魚介類を毎日摂取することで転倒・骨折予防につながる可能性のあることが示唆された。また、本研究においても25(OH)Dと認知機能との関連がみられたが、ひき続き縦断研究を実施し検証したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二次予防事業対象者を対象にした介護予防教室における調査を、「研究実施計画」通りにほぼ遂行できている。研究内容は、(1)ビタミンDの食品摂取状況と生活機能、身体機能との関連を横断的に検証すること、(2)教室開始時及び教室終了時のビタミンDの食品摂取状況と生活機能、身体機能との関連を縦断的に検証すること、(3)教室終了から1年後のビタミンDの食品摂取状況、生活機能、身体機能、活動意欲、QOL、介護度などを調査、ビタミンD摂取量の有無による生活機能、身体機能への影響を検証し、1年後に介護認定を受けた者(介護認定者群)とそうでない者(介護認定非該当群)との比較検討を行い、両群のビタミンDの食品摂取状況から生活機能や身体機能に及ぼした影響要因を検証すること、(4)介護予防教室への介入効果の検証も継続して行うことにあり、(1)(2)(4)については昨年同様に解析が進んでいるが、(3)の1年後の状況においては、昨年度の対象者の調査が終了したばかりであるため、データを早急にまとめ、今年度に評価し実施状況報告をしたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度までのデータに基づき、今後も教室終了から1年後のビタミンDの食品摂取状況、生活機能、身体機能、活動意欲、QOL、介護度などを調査を継続し、ビタミンD摂取量の有無による生活機能、身体機能への影響を検証し、1年後に介護認定を受けた者(介護認定者群)とそうでない者(介護認定非該当群)との比較検討を行う。そして両群のビタミンDの食品摂取状況から生活機能や身体機能に及ぼした影響要因を検証し、今年度はその結果を論文にまとめていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
費用のかかる採血検査を実施しているため、次年度に使用したいため 次年度の血液検査費用として使用する
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