研究課題
本研究課題は、インフルエンザウイルスに対する免疫記憶機構の解明を目的としている。これまでに2009年9月、2010年3月、2011年11月、2014年4月、2015年4月に同一集団を対象として、ボランティアから採血を行い、pdmH1N1亜型のインフルエンザウイルスに対する抗体価を調べてきた。その結果、常に高い抗体価を保持しているグループと、ワクチンを複数回接種しているにも関わらず、全く抗体価が上がらないグループが存在することが明らかとなった。高い抗体価の維持とワクチン接種の関係を調べるため、ワクチン接種ボランティアからワクチン接種前と接種1ヵ月後に採血をさせていただき、ワクチン株(pdmH1N1亜型、H3N2亜型、B型ビクトリア系統、B型山形系統)に対する抗体価を解析したところ、いずれの亜型でもワクチン接種による抗体価の変動はあまり認められず、抗体価の高いヒトはワクチン接種前から高い抗体価を維持していることが明らかとなった。そこで、ワクチン接種ボランティアの血液を用いて、1968年、1979年、1992年、2002年、2012年、2014年の各年に分離されたH3N2亜型のウイルスに対する抗体価を解析したところ、年代別に抗体価に差が認められ、一番最初に感染したと思われるウイルス株に対する抗体価が高く、抗原原罪が影響していると考えられた。また、いずれの株に対してもワクチン接種による抗体価の変動はほとんど認められなかった。したがって、ワクチンの刺激により抗体価を維持しているのではなく、別の要因が関係していることが明らかとなった。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
J Virol
巻: 91 ページ: e01716-16
10.1128/JVI.01716-16
Nat Microbiol
巻: 23 ページ: 16058
10.1038/nmicrobiol.2016.58.
Sci Rep
巻: 6 ページ: 38388
10.1038/srep38388.