研究課題
基盤研究(C)
日本・英国・フィンランドの3か国の公務員を対象に実施している疫学調査において、社会経済的要因による健康格差や健康リスクの格差について国家間の対辞典や相違点を横断的・縦断的に明らかにし健康政策立案に資することを研究目的としている。平成24年度は、ワーク・ライフ・バランスの睡眠への影響について3か国で評価したところ、仕事が原因で家庭生活に影響が出やすい人や家庭が原因で仕事に影響が出やすい人は、縦断的にみて睡眠障害が発生しやすいことが分かった。また、睡眠障害には3か国において社会経済的地位が低いほど睡眠障害が多いという睡眠格差が存在し、この睡眠格差は、各国程度の差はあるが、心理社会的ストレスやワーク・ライフ・バランスの格差によって説明できることが分かった。また、睡眠障害予防の観点から、睡眠の量と質との関係および背景要因を評価したところ、約8時間睡眠者において睡眠障害の有病率が最低で、短眠及び長眠双方で睡眠障害の有病率が高いというU字型であった。短眠者では、主観的睡眠感や日中の機能障害による睡眠障害が多く、短眠者は職階が低い、仕事の要求度が高い、ワーク・ライフ・バランスが悪い、喫煙者が多いことで説明された。長眠者では、睡眠潜時や睡眠効率が悪いことによる睡眠障害が多く、慢性疾患を持つ人が多いことで説明された(共同通信社記事)。また、日本の公務員において職階が高いほど仕事の満足度が高いという格差が存在した。心理社会的ストレス、ワーク・ライフ・バランス、性格傾向などが説明要因となるか検討したところ、主に裁量度と支援度の格差が説明要因であった。仕事の満足度が低い職場は、作業効率低下や病欠、離職につながることから、裁量権の委譲等の職場環境の見直しが、格差縮小および職場の健康増進につながると考えられた(世界経営財務会議行政管理部門最優秀賞)。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度の実施計画として、日本・英国・フィンランドの健康リスク要因や健康指標の社会格差についての横断研究を行うと同時に縦断研究に着手するとしているが、前述のとおり横断研究及び縦断研究を実施しており順調に進展しているといえる。
平成25年度以降も、国際共同研究者会議等での合意事項に基づいて、さまざまな指標で日本・英国・フィンランドの健康リスク要因や健康指標の社会格差についての横断研究および縦断研究をすすめる。
該当なし
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International Journal of Behavioral Medicine
巻: in press ページ: in press
DOI 10.1007/s12529-013-9301-6
http://www.med.u-toyama.ac.jp/healpro/jacs/jacs.html