研究課題/領域番号 |
24590788
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐藤 美理 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10535602)
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研究分担者 |
鈴木 孝太 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (90402081)
山縣 然太朗 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10210337)
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キーワード | 思春期 / 抑うつ / 起立性調節障害 / ボディイメージ |
研究概要 |
平成25年度も、甲州市母子保健長期縦断調査の一環として、甲州市内すべての小中学校において、小学校4年生から中学3年生約2000人を対象として、「児童生徒の心の健康と生活習慣に関する調査」(以下、思春期調査)を行った。調査内容は、生活習慣、心の健康(バールソン抑うつ評価尺度、起立性調節障害診断基準問診項目)であり、児童生徒健康診断表から、身長・体重等の身体データ抽出も行った。思春期調査を毎年7月に実施するようになってから、6年分のデータが集積された。これは、小学校4年生であった児が中学3年生になるまでの経時データが得られたこととなった。昨年と同様にして、前年度までのデータとのリンケージを行い思春期縦断データセットを作成した。また、本年度は、甲州市教育委員会から、Q-Uテスト(学校生活意欲尺度、ソーシャルスキル尺度等からなる、よりよいクラス作りのための質問紙)のデータ解析依頼があり、思春期調査データとの関連を検討した。Q-Uテストで測定されているソーシャルスキルやクラス内での人間関係は、心の健康と深く関連しており、今後の研究にとって新たに重要なデータが蓄積されたと思われる。 平成25年度は、思春期における抑うつ症状とソーシャルスキルやクラス内での人間関係のつながりの強さに関連があるかどうかを検討した。また、思春期6年間の経時データを用いて、ボディイメージと抑うつ症状の変化の検討も行った結果、思春期早期にボディイメージが悪いことが、その後の思春期に継続的に抑うつのリスクとなることが明らかとなった。また、発症の増加が懸念されている起立性調節障害については、経年データを検討したところ、本研究では、明らかな増加は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度思春期調査を実施した。調査表の回収率は98.5%であった。前年度までの思春期調査データとともに、抑うつ症状や起立性調節障害の陽性率の経年変化が明らかとなった。近年トピックとなっているソーシャルスキルなどのデータも蓄積され、抑うつ症状や起立性調節障害などのメンタルヘルスとの関連において、大変有用であるデータセットの構築ができたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
思春期6年間のメンタルヘルスに関する繰り返しデータが構築できた。思春期におけるこのような長期にわたる研究はほぼ無く、抑うつ症状や起立性調節障害をアウトカムとした場合に、スコアの変化あるいは陽性か否かにするのかなど、解析方法における課題が残されている。次年度は、新たなメンタルヘルスに関係するデータも集積できたので、これらを含む経年での検討を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
報告書作成が、本年度中に行われなかったため翌年度に持ち越しとした。 報告書を発注済みである。
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