研究課題/領域番号 |
24590793
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 純子 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (70155266)
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研究分担者 |
片山 惠子 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 講師 (50304415)
松尾 順子 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (70570232)
秋田 智之 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 特任助教 (80609925)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肝炎ウイルス / 血清疫学調査 / 肝癌死亡 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 / ウクライナ共和国 / カンボジア王国 / ベトナム社会主義共和国 |
研究概要 |
本研究では、これまでに協力関係を構築してきた米国、ウクライナ、カンボジア、ベトナムの4国における、肝炎ウイルス感染率、罹患率、肝がん死亡率及び肝癌死亡に占める肝炎ウイルス感染率を元に解析を行い、わが国のデータとともに肝炎ウイルスの汎流行時期と肝癌死亡率との関連性について年齢・時代・コホートモデルを用いた数理疫学的分析を行う予定である。当該年度は、研究協力国であるカンボジア及びベトナムにおける肝炎ウイルス感染率を明らかにするために、両国現地での疫学調査を行った。 カンボジアでは、カンボジア保健省の研究協力者と共同で現地の一般住民を対象とした血清疫学的調査を行い、参加者の同意をとり、血液を採取し血清を持ち帰って肝炎ウイルス感染状況を調査した。肝炎ウイルス感染者には、保健指導も行った。 同様に、ベトナムにおいてもベトナムビントウアン県の保健局長と共同し、一般住民を対象とした血清疫学的調査を行い、現地における肝炎ウイルス感染状況を明らかにし、結果の通知とともに健康指導を行った。B型肝炎ウイルス(HBV)感染率の高いベトナムについては、感染病態、HBV genotype分析も行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、当初の計画通りにカンボジア及びベトナムに赴き、現地において肝炎ウイルス感染の血清疫学調査を行った。カンボジアでは、我々はこれまでにも調査を実施し、同国における感染状況を明らかにしてきたが、当該年度は一地域の一般住民及び小学生を対象として調査を行った。ベトナムにおいても血清疫学調査を行い、一般住民を対象として同意を得られた参加者から血液を採取し、血清を持ち帰って肝炎ウイルス感染状況について測定を行った。日本と比較してB型肝炎ウイルスの感染率及び感染既往率が高いことを明らかにした。当該年の計画をおおむね遂行できたと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
肝がん死亡に占める肝炎ウイルス罹患状況(HCV,HBV)を推定するために、現地協力研究者の協力の下で研究を行う。米国においては、全米の資料により死因が肝がんあるいは肝硬変と診断された症例についての肝炎ウイルス罹患状況調査を行い、また、文献調査及び制度に関する検討を行う。カンボジア及びベトナムにおいては、まだ肝がん死亡に占める肝炎ウイルス感染の割合は把握できないと考えられるが両国の保健省より資料提供を試み、当該国の性・年齢別、年次別肝癌死亡統計資料の収集をはかる。次年度は、5月-6月末、7月-8月末にウクライナ、米国、カンボジアとベトナムへの調査渡航を計画している。 得られた資料からのデータをとりまとめ、各疫学指標の算出と数理疫学解析を行う。HBVキャリア率、HCVキャリア率、肝がん死亡率、肝がん死亡の病因に占めるHBV,HCVの割合などの算出および数理モデルによる解析を行う。さらに、社会的背景要因などを組み込んだ数理モデルによる解析も行う。肝がん好発年齢と感染時期の時間交絡の関与の検討、環境の異なる国毎の感染状況を背景とした肝炎ウイルス感染の関連を明らかにし、肝がん死亡の将来予測を試みる。肝がん死亡率の数理疫学モデルには Area-Age-Period-Cohort(:APC)モデル及び肝炎ウイルス感染や輸血用血液スクリーニングなどの背景要因を組み入れた拡張モデルを用いる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は5月-6月末、7月-8月末にウクライナ、米国、カンボジアとベトナムの4国への調査渡航を計画しており、さらに、カンボジア及びベトナムにおいては、ひきつづき肝炎ウイルス感染状況把握のための疫学調査を行う計画をしている。 海外への渡航及び調査費を含め、肝炎ウイルス関連の測定試薬も必要となる。
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