研究課題
肝炎ウイルスの汎流行時期と肝がん死亡率との関連性について、年齢・時代・コホートモデル(APCモデル)を用いた数理疫学的分析により肝炎ウイルス感染状況と肝がん死亡率の将来予測を行うことを目的として、カンボジア王国、ベトナム社会主義共和国での疫学調査を行い、カンボジア及びベトナムの肝炎ウイルス感染率を明らかにした。カンボジアではHBs抗原陽性率(B型肝炎ウイルスキャリア率)4.6%(95%CI:2.7-6.4%)、HCV(C型肝炎ウイルス)抗体陽性率5.8%(95%CI:3.7-7.9%)、HCV RNA陽性率(HCVキャリア率)は、2.3%(95%CI:0.95-3.6%)であった。ベトナムの調査結果ではHBs抗原陽性率15.3%(12.2-18.5%)、HCV抗体陽性率3.3%(1.8-4.9%)、HCV RNA陽性率 1.8%(0.6-2.9%)と高い陽性率を示した。また、わが国の1940年から1990年までの年齢・時代・コホート情報を元に、APCモデルを応用して2010年時点の肝癌死亡率を推定したところ、男性では推定死亡率より実死亡率は大きく下回っていた。1990年以降(C型肝炎ウイルスのクローニング以後)、治療や肝炎ウイルス検査が積極的に推進され、1990年代に実施された肝炎・肝がん対策の効果によるものと考えられた。本研究で得られたデータをもとに肝炎ウイルス感染率の高いアジアにおける肝がん死亡率推移の推定を行い、国ごとの感染状況を背景とした肝炎・肝がん対策の指針の提示を目指す。
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Hepatology Research
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