研究課題/領域番号 |
24590795
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡 靖哲 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (60419025)
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研究分担者 |
淡野 桜子 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (00591819)
堀内 史枝 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (50363247)
谷川 武 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80227214)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 小児睡眠呼吸障害 |
研究概要 |
有病率や背景因子の検討が従来ほとんどなされていない小児睡眠時無呼吸症候群(SAS)について,地域の保育園児~中学生を対象として簡易検査機材を用いた疫学調査を行い,スクリーニング手法を確立するとともに,有病率を明らかにすることを目的として検討を進めた. 平成23年に実施した伊予市・伊予郡の口呼吸・睡眠・行動問診票調査(調査票回収数:8900名)の回答をもとに,SASが疑われる患者約400名に簡易検査機材を用いた調査への参加を案内し,151名(平成24年3月現在)をリクルートした. 対象者には地域で説明会を行い(毎月最大24名),睡眠専門医による問診,身体測定,歯科医による口腔・顎顔面形態の評価,パソコンを用いた認知機能テストを行った.睡眠専門医による問診では,睡眠呼吸障害に関連する症状のほか,その他の睡眠障害についても詳細に問診を行った.歯科診察では,SASの原因となりうる扁桃腺肥大や顎顔面形態について評価するとともに,口腔の状態について写真による記録も行った.簡易検査機材について保護者に装着方法の説明を行い,自宅にて携帯型の終夜睡眠ポリグラフィ(SASスクリーニング)装置を2夜記録してSASの有無・重症度を測定するとともに,携帯型脳波計を2夜,アクチグラフィを2週間記録して睡眠の質的評価もあわせて実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
自宅での簡易検査機材を用いた調査は,ほぼ毎月調査可能最大数(24例)をリクルートして実施できており,計画通りの症例数を確保している. また,携帯型装置による終夜睡眠ポリグラフィによるSASの判定に加えて,当初の計画には含まれていなかった,携帯型装置による脳波記録を新たに検査項目として追加することで,より詳細なSASの判定および睡眠の質的評価を実施できている.顎顔面形態・口腔の状態についても,毎回約5名の歯科医により詳細に評価しており,SASの背景因子を検索するための十分なデータが得られている. さらにSASと認知・行動指標との関連については,問診票を用いて行う予定であったが,パソコンを用いた認知機能テストを現地で追加して導入し,より客観的なデータを得ることが可能となっている.
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今後の研究の推進方策 |
簡易検査機材を用いた調査は現在継続中であり,平成25年度にも継続して実施することで,計240名のデータを取得する予定である.これにより,SASの有病率の推定が可能となる.また,携帯型脳波計による睡眠の質的評価,認知機能テストのデータの詳細な解析をすすめる. 簡易検査によりSASと考えられる対象者には,医療機関での精査を薦め,終夜睡眠ポリグラフィにてより詳細なSAS・睡眠評価を行い,治療が必要な患者に対して,治療導入を行う.治療は重症度と背景因子,年齢に応じて,口腔トレーニング,耳鼻科的内服治療(抗アレルギー剤),口腔内装具,耳鼻科手術療法(扁桃腺アデノイド摘出術など),経鼻持続陽圧呼吸療法などを選択して治療導入する.治療導入したSAS患児に対して,治療6ヶ月後に脳波記録を含む終夜睡眠ポリグラフィにてSASの治療効果評価を行い,併せて口腔の状態評価,行動指標の評価を行う.口腔の状態評価,行動指標の評価は治療12ヶ月後にも再度行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
携帯型装置による検査に必要なセンサー等の物品を引き続き購入するとともに,携帯型脳波計および認知機能テストの解析費用が必要となる.SASの精査・治療導入を行うにあたり必要な検査用・治療用物品の費用が必要となる.また,調査に必要な睡眠・行動質問紙などの印刷費,データの集計,解析のため研究補助者の謝金が必要となる. 本研究の成果発表として,国内学会,国際学会での発表を行う予定であり,これに関する旅費が必要となる.
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