福岡県久山町の糖尿病網膜症の有病率調査の成績より、糖尿病診断に対するHbA1c(NGSP)のカットオフ値を検討した結果、6.1%であり、現在の診断基準値に比べ低いレベルにあった。さらにこの集団でHbA1cレベルと頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)との関連を検討すると、糖代謝異常群ではHbA1cレベルの上昇とともに最大IMTの平均値は有意に増加した。また、追跡調査の成績を用いてHbA1cレベルが心血管病発症に及ぼす影響を検討した結果、HbA1cレベルの上昇は脳梗塞および虚血性心疾患の有意な危険因子であり、既知の心血管病危険因子にHbA1cを加えると、心血管病発症の予測能は有意に改善された。
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