本研究では、女性特有の生体リズムである月経周期に着目し、作業の種類別に女性のための労働安全衛生管理システムとして活用できるツールの提案を行うことを目的としている。最終年度に実施した内容は以下の通りである。 昨年度に調査した心拍数データを解析し、心拍変動と主観評価をあわせることにより、身体的・心理的に何らかの影響があることの可能性を見いだした。また、月経周期の変化を本人が把握することにより、生活や仕事への影響に対応する余裕が持てることが、負担軽減につながるという知見が得られた。 健康管理のためのツールの提案については、働く女性の複数の生活パターンをユーザエクスペリエンスマップとして表現し、行動を調べることによって生活の中で親和性の高いツールを検討した。その結果、身だしなみを整える際に必ず必要となる”鏡”を用いることとした。住宅や職場では、化粧室の鏡、移動時には携帯電話のディスプレイを鏡として使うことを想定し、システム設計を行い、プロトタイプを制作し、使用感について問題がないことを確認した。
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