研究課題/領域番号 |
24590809
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
栗山 長門 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60405264)
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研究分担者 |
渡辺 能行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00191809)
尾崎 悦子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00438219)
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キーワード | TGFβ1 / 認知機能低下 / 血管性性認知症 / 前向き調査研究 |
研究概要 |
認知症の根本的な治療が未だ確立していない現在、代替的に、認知機能の低下を促進するリスク因子の早期発見および予防の重要性が注目されている。近年、認知症患者剖検脳にて慢性炎症反応が亢進しており、TGF-βが注目されている事,アルツハイマー疾患モデルマウス脳のミクログリアとアストロサイトにおいてTGF-β1の過剰発現が見られ、破綻した血液脳関門を通じ末梢血中でもTGF-β1亢進が見られる事が報告され、認知症を促進するリスク因子として,TGF-β1の多彩な炎症性神経障害作用が注目されている。 申請者らは,平成14-15年にベースラインの疫学調査を実施した一般住民の参加者(基盤研究(B):画像診断に基づく頭頚部動脈硬化症のリスクに関する疫学研究」(研究分担者))に対して、開始時および5年後(平成20年)の2回にわたり、頭部MR検査、血液生化学的検査を実施している。現在も、長期追跡調査中であるが、本前向き追跡研究において、認知機能低下を有する群で、TGF-β1を中心とした認知障害増悪のリスク因子について検討している。 その中で、血中TGF-β1値の変動が、認知機能低下や頭部MR 画像の変化について、独立した関連因子であることを明らかにする。そして、代表的な生活習慣指標、さまざまな臨床情報を含む総合的な解析を実施し、統計学的な多因子調整後も、TGF-β1 を中心とした炎症性ケモカインが、ヒト認知機能低下に対するマーカーとして有用であることを検証出来つつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、すでに本検診参加者全員の経時的な臨床情報、-80℃での血清および血漿、頭部MR 画像情報を採取し、解析を終了している。そして、有意性の得られた要因の相互関係を補正するために、性と年齢に加えて有意性の得られた要因を同時に投入して多変量解析を行い、オッズ比とその95%信頼区間を求めた。81名の測定結果から、TGF-β1 (35 ng/ml以上)の上昇は、脳内白質病変を有する群で、有さない群に比して、1.72倍おこりやすいこと(オッズ比=1.72)を示す結果を得た。このことは、血中TGF-β1高値自体が、単独の脳内白質病変進展のリスク因子であることを示唆している。この成果は、日本脳卒中学会などでの学会発表および、Neurological research(Vol 36:47-52,2013年. 査読あり)への論文掲載など順調に報告している。この研究が終了する際には、TGF-β1 を中心とした炎症性ケモカインについて、脳内白質病変進行の早期予知マーカーとして有用であり、血管性認知症と密接に関係している可能性を、世の中に確固たる情報として発信する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、TGF-β1上昇自体が、脳の白質病変の増悪に寄与しており、血管性認知症のリスク因子であることを確認することができた。今後、同意を得て、経時的な血中TGF-β1などの炎症マーカーの変化と、認知機能検査結果の変動が相関するかを前向きに追跡調査する準備を行っている。また、この成果は、日本脳卒中学会などでの学会発表および、Neurological research(Vol 36:47-52,2013年. 査読あり)への論文掲載まで順調に進展おり、当教室のホームページや府民医療講座等で周知を図りながら、世の中に確固たる情報として発信する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に予定していた対象者のうち、全体の約1/4の検査が、計画通りに進まなかったので、その分の測定費用の執行ができなかったため。 上記記載のごとく、本研究に関しては、論文化も進んでおり、良好な結果が得られている。今後、当初の計画通り、本研究に参加および協力していただいた方への情報還元なども行う準備中である。 最終年度である今年度は、昨年度に予定していた残り約1/4の検査を、予定通り速やかに進め、本年度に検査費用として執行する予定である。 以上より、上記の追加対象者の血中マーカーや、必要な関連交絡因子の測定値を最終的にすべて確定し、その測定費用の支払いを行う予定である。なお、その他の物品費や旅費などの予定も、順調に進めている。
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