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2013 年度 実施状況報告書

東日本大震災前後の脳卒中罹患状況の変化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24590810
研究機関岩手医科大学

研究代表者

大間々 真一  岩手医科大学, 医学部, 講師 (20453300)

キーワード脳卒中 / 地震 / 津波 / 罹患率 / 疾患登録
研究概要

東日本大震災前後の脳卒中罹患状況を把握するために平成25年度は次に挙げる項目の研究活動を行なった。
1.脳卒中登録データ悉皆調査体制の維持
平成24年度に整備した岩手県沿岸部全域と内陸北部での脳卒中悉皆登録体制を維持するために以下の項目を実施した。(1)調査対象の医療機関の長、診療科長、および事務部門の長から調査研究を継続して行なう事の承諾を得た。(2)リサーチナース配属病院では、本研究者とリサーチナースが各病院の入院患者リストと、脳卒中登録者リストとの照合を行ない、平成25年8月31日までに退院した脳卒中入院患者の登録を行なった。(3)リサーチナースを配属していない病院には、各病院に本研究者が2回訪問して調査を行い、平成25年12月31日までに退院した脳卒中入院患者の脳卒中登録を行なった。
2.脳卒中登録データの解析および公表
上記で維持した脳卒中悉皆登録体制により精度を高めた岩手県地域脳卒中発症登録データを解析し、得られた結果を以下の通り公表した。(1)平成24年度の解析により、東日本大震災の震災後4週間は脳卒中罹患が増加し、特に津波被害が甚大であった地域、男性、高齢者での増加が著しかった事を明らかにした論文を投稿し、平成26年6月に英文誌Strokeに掲載された。(2)岩手県沿岸部での震災後4週間の脳卒中増加と、津波被害と地震の影響との関連を解析し、脳卒中の増加は津波被害の影響が大きく、地震の揺れによる影響が少ないことを明らかにした。その結果を平成25年10月、第41回日本救急医学会総会で学会発表した。(3)震災後の脳卒中罹患率は、内陸部では震災後徐々に減少しているのに対し、沿岸部では震災年の平成23年末まで罹患率は減少せず、平成24年になってから減少していたことを明らかにした。その結果を平成26年3月、第39回日本脳卒中学会総会で学会発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成25年度の計画では、調査対象の各医療機関で平成25年3月31日までに退院した患者の悉皆調査および登録を完了することを目標としていたが、平成25年度は順調に悉皆調査が進み、リサーチナース配属病院では平成25年8月31日退院分まで、その他の医療機関では平成25年12月31日退院分までと、目標期間を越えて悉皆調査と登録が完了した。
また、脳卒中登録データの解析では、震災後の脳卒中増加と、津波被害と地震の揺れの影響との関連を解析し明らかにする事を目標としたが、解析により震災後4週間の脳卒中の増加は津波被害の影響が大きく、地震の揺れによる影響が少ないことを明らかにし、その結果を平成25年10月に第41回日本救急医学会総会で学会発表した。さらに、上記のごとく悉皆調査が順調に進んだことから、平成26年度に実施予定としていた、震災後の中期的な視点でみた脳卒中罹患状況の推移の中間解析を行なうことが出来、震災後から平成25年6月30日まで(震災後2年3ヶ月まで)の脳卒中罹患状況の変化を、平成26年3月、第39回日本脳卒中学会総会で発表を行なった。

今後の研究の推進方策

平成26年度は研究対象地域において、震災後の生活基盤の復旧と復興が脳卒中罹患状況に与える影響を明らかにする事を目的として、次に挙げる項目を実施する。
1.脳卒中登録データ悉皆調査体制の維持
研究対象地域でリサーチナースおよび調査員による悉皆調査を継続し、平成26年12月31日まで脳卒中を発症した患者の悉皆的脳卒中登録を完了することを目標とする。
2.脳卒中登録データの解析
中期的な視点で震災後の脳卒中罹患状況を明らかにし、震災後の避難所生活から仮設住宅、さらに災害復興住宅への入居など住環境の変化と、列車や道路整備など交通手段の復旧や産業の再開など生活基盤の復興が脳卒中罹患状況に与える影響を明らかにする目標とする。また、解析結果を第40回日本脳卒中学会総会(平成27年3月広島)にての結果発表を予定する。

次年度の研究費の使用計画

リサーチナースによる悉皆調査が効率よく順調に進んだことから人件費・謝金の使用額が予定額より低くなった。
リサーチナースによる平成26年度の悉皆調査の対象者を、当初、平成26年3月31日までの退院者としていたが、平成26年12月31日までの退院者に変更し、震災が脳卒中罹患に与えた影響をより長期間調査する。平成26年度の研究費のうち、直接経費の使用計画は、平成25年度の使用状況から以下のように計画する。
【収入】(平成26年度の交付予定)1,100,000円、(平成25年度からの繰越し)97,705円、(合計)1,197,705円 【支出】(物品費)消耗品 60,000円、(人件費・謝金)リサーチナースへの謝金 850,000円、(旅費)リサーチナース研究打ち合わせ旅費、訪問調査旅費、学会発表旅費 200,000円、(その他)論文作成費用 87,705円、(合計)1,119,705円 【収支】0円

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Incidence rate of cerebrovascular diseases in northern Japan determined from the Iwate Stroke Registry with an inventory survey system2013

    • 著者名/発表者名
      Shinichi Omama, Yuki Yoshida, Kuniaki Ogasawara, Akira Ogawa, Yasuhiro Ishibashi, Masaki Ohsawa, Kozo Tanno, Toshiyuki Onoda, Kazuyoshi Itai, Kiyomi Sakata, Akira Okayama
    • 雑誌名

      Journal of stroke and cerebrovascular diseases

      巻: 22 ページ: e317-e322

    • DOI

      10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2012.12.011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influence of the Great East Japan Earthquake and Tsunami 2011 on occurrence of cerebrovascular diseases in Iwate, Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Shinichi Omama, Yuki Yoshida, Kuniaki Ogasawara, Akira Ogawa, Yasuhiro Ishibashi, Motoyuki Nakamura, Kozo Tanno, Masaki Ohsawa, Toshiyuki Onoda, Kazuyoshi Itai, Kiyomi Sakata
    • 雑誌名

      Stroke

      巻: 44 ページ: 1518-1524

    • DOI

      10.1161/STROKEAHA.111.000442

    • 査読あり
  • [学会発表] 東日本大震災の津波浸水地域における脳卒中罹患率の推移2014

    • 著者名/発表者名
      大間々真一、吉田雄樹、小笠原邦昭、石橋靖宏、中村元行、丹野高三、小野田敏行、板井一好、坂田清美
    • 学会等名
      第39回日本脳卒中学会総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20140313-20140315
  • [学会発表] 東日本大震災の津波による浸水被害の程度と脳卒中罹患増加との関係について2013

    • 著者名/発表者名
      大間々真一、吉田雄樹、遠藤重厚、小川彰、中村元行
    • 学会等名
      第41回日本救急医学会総会・学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20131021-20131023

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公開日: 2015-05-28  

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