この研究は東日本大震災が脳卒中罹患に与えた影響を明らかにすることを目的とした。岩手県沿岸部全域と内陸北部の脳卒中悉皆登録体制を確立した。 この脳卒中登録データを解析し、東日本大震災により岩手県沿岸部では、震災後4週間の脳卒中が増加したことを明らかにし、男性、75歳以上の高齢者、および、浸水被害が甚大であった地域でその増加が著しかったことを明らかにした。この4週間での脳卒中増加は本震の揺れ強度による影響はほとんどなく、主に津波による浸水被害程度に大きく影響を受けていることを明らかにした。さらに、中長期的視点では震災から1年間脳卒中罹患が増加し、その後に減少に転じていたことを明らかにした。
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