研究課題/領域番号 |
24590812
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
中島 滋 文教大学, 栄養学部, 教授 (90149782)
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研究分担者 |
渡邊 美樹 文教大学, 栄養学部, 助教 (20331457)
目加田 優子 文教大学, 栄養学部, 講師 (60617281)
藤見 峰彦 文教大学, 栄養学部, 講師 (80322452)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヒスチジン / 抗肥満 / イソフラボン / 大豆 |
研究概要 |
本研究では、ステロイドホルモンの前駆体であるコレステロール、ステロイドホルモン様の作用を有するイソフラボン、およびその供給源である大豆食品に着目し、それらのヒスチジン摂取による抗肥満作用に対する促進作用を調べることを目的とした。当該年度では、ヒトを対象とした食事と身体状況調査およびラットを用いた動物実験を行った。国内の3地域(北海道、長野県、沖縄県)において、各地域の成人男女それぞれ約100名を対象としてアンケートによる3日間の食事の自記または聞き取り調査を実施した。現在、データの解析中である。ラットを用いた動物実験では、0.3%メチオニン添加20%カゼイン食を標準食、標準食にヒスチジンを添加した飼料をヒスチジン食、標準食およびヒスチジン食にコレステロールおよびイソフラボンを添加した飼料を試験食としてWistar系幼弱雌雄ラットを用いた飼育実験を行った。雄ラットにおいては、ヒスチジン(3%以上)およびイソフラボン(0.2%以上)それぞれに摂食抑制および体脂肪増加抑制効果が観察された。また、ヒスチジンとイソフラボンを同時に添加した場合、相加的もしくはそれ以上の摂食抑制および体脂肪増加抑制効果が認められた。雌ラットにおいては、ヒスチジンとイソフラボンを同時に添加した時の摂食抑制および体脂肪増加抑制効果が、雄ラットより顕著に観察された。また、雄ラットを用いて低濃度のヒスチジン(1%)、イソフラボン(0.1%)、およびそれらを同時に添加した飼料を用いて飼育実験を行った。その結果、ヒスチジンとイソフラボンを同時に添加した場合のみ、摂食抑制および体脂肪増加抑制効果が認められた。したがって、イソフラボンはヒスチジンの摂食抑制および体脂肪増加抑制効果を高める可能性が示唆された。また、コレステロールについては、雄ラットにおいて、イソフラボンの様な効果は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ヒトを対象とした食事と身体状況調査およびラットを用いた動物実験を行っている。 ヒトを対象とした食事と身体状況調査では、データの解析が遅れているが、調査はほぼ順調に進んでいる。今後、速やかにデータの解析を行いたいと考えている。また、対象者数が予定数の約半数であり、今後、対象者数を増加させる努力が必要であると考えれいる。 ラットを用いた動物実験では、ヒスチジンおよびイソフラボンによる相加的以上の摂食抑制および体脂肪増加抑制効果が認められた。また、雄ラットだけでなく、次年度に予定していた雌ラットにおいても実験の一部を行うことができた。したがって、ほぼ初年度の予定を達成できたと考えている。また、これらの結果の公表(学会発表および論文投稿)を速やかに行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、ヒトを対象とした食事と身体状況調査の海外調査およびラットを用いた動物実験の雌ラットおよび卵巣摘出した雌ラットを用いた実験を行う。また、適時研究結果の報告を行う。 ヒトを対象とした食事と身体状況調査の海外調査では、中華人民共和国、大韓民国、北米(アメリカ合衆国もしくはカナダ)を対象地域とする。アンケートによる3日間の食事の自記または聞き取り調査を行う。調査後、各国で使用されている最新の食品成分表および食品アミノ酸組成表を用いて、対象者の1日当たりのエネルギー、タンパク質、ヒスチジン、コレステロールおよび大豆食品摂取量を調べる。また、HPLC法を用いて食品中のイソフラボン量を調べ、その1日当たりの摂取量を算出する。 ラットを用いた動物実験の雌ラットおよび卵巣摘出した雌ラットを用いた実験では、0.3%メチオニン添加20%カゼイン食を標準食、標準食にヒスチジンを添加した飼料をヒスチジン食とする。標準食およびヒスチジン食にイソフラボンを添加した飼料を試験食とする。イソフラボンは濃度を変えて添加する。飼育期間中の飼料摂取量の結果より、ヒスチジン摂取による摂食抑制作用に対するイソフラボンの影響を検討する。飼育期間中(一週間ごと)および飼育終了時にラット用の血圧計を用いて血圧を測定する。飼育終了後、体脂肪量や脂肪組織における脱共役タンパク質UCP1のmRNAとタンパク質の発現量を調べ、ヒスチジン摂取による脂肪蓄積防止(熱産生の促進)に対するイソフラボンの影響について検討する。また、飼育終了時に絶食させて採血し、血中のアミノ酸、イソフラボンおよびメタボリックシンドローム診断指標の測定を行い、血中ヒスチジン濃度とメタボシックシンドローム診断指標との相関関係に対する血中イソフラボン量の影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品としては、デユアル周波数体組成計(タニタDC-320、1台、金額:252千円)を購入予定である。消耗品としては、一般試薬、飼育試料、ラット、臨床検査キット、mRNA測定用試薬、HPLC用カラム(総額:1000千円)を購入予定である。旅費としては、外国旅費(北米、韓国、中国)として、350千円を予定していいる。人件費・謝金としては、建っ吸補助費として120千円を予定している。その他としては、印刷費(アンケート用紙)、通信費(調査結果送付)として250千円を予定している。
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